水深19メートル超にジュゴン食み跡 掘削で深場移動か


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 【名護】米軍普天間飛行場の移設計画に伴う名護市辺野古の埋め立て予定地に隣接する大浦湾の水深約19・7メートルの地点で15日、絶滅危惧種ジュゴンの食(は)み跡が見つかった。

国内で最も深い確認地点とされる。海底ボーリング調査に関する作業が影響し、新たな餌場を求めた可能性がある。
 ジュゴンネットワーク沖縄、北限のジュゴン調査チーム・ザン、ヘリ基地反対協議会ダイビングチームレインボーの合同調査団が、立ち入りが制限される臨時制限区域の外で発見した。直径50メートルの海底内で35本の食み跡を確認し、新しいものは約1週間前とみている。長さは1・9~10・5メートルと比較的短く、沖縄防衛局が本島周辺に生息しているとする3頭のうち若いジュゴンの食み跡とみられる。
 同ネットワーク沖縄の棚原盛秀共同代表は「工事の影響で深場に追いやられ、仕方なく食べているのではないか。若いジュゴンが深場で食べるのには相当無理があるはず」と分析。日本自然保護協会の安部真理子主任は「19・7メートルの深場の事例はあまりない。調査の影響で、これまで食み跡が多く確認された浅瀬に行けなくなっている可能性が高い」と指摘した。
 ボーリング調査の影響で、ジュゴンが餌場に近づけなくなるという懸念は以前から上がっているが、昨年7月、同自然保護協会が制限区域内の調査を在日米軍に申請したが許可されなかった。防衛局の調査で昨年9月1日、大浦湾でジュゴンが確認されたが、それ以降は発表されていない。
英文へ→Bite marks of dugong found close to Henoko relocation area

新たに確認されたジュゴンの食み跡=15日、大浦湾(ダイビングチームレインボー提供)
ジュゴンの食み跡の確認地点