【アメリカ】“ルーツ”見つめ直す/3、4世集い「沖縄研究会」


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沖縄研究会に参加する人たち。(前列左から)ヤヨイ・ロビンソンさん、デニス上原さん。(後列左から)真境名愛子さん、ケン吉田さんとグループのメンバーら

 沖縄系の3、4世が集まってオキナワンワークショップ(沖縄研究会)を始めた。米ロサンゼルスのリトル東京にある日米文化会館で10月中旬から行われており、15人のメンバーすべてが沖縄系。いろいろな職業を持つ人の集まりである。作家、大学院生、医学生、芸術家、舞踊家、新聞記者などで、それぞれに参加目的も違うようだ。ほとんどの参加者が南カリフォルニア在住者だが、ハワイからわざわざ参加している人もいる。

 研究会ではリーダーのデニス上原さんが課題を与える。沖縄に関するもので思いついたものを作成して、それについて自分なりの説明をする。沖縄の食物、健康と生活、民謡と舞踊、若人の文化、ウチナーグチ、文学、陶器とガラス製品などが主なテーマで、参加者は分担して課題に向き合う。
 戦争が課題になった時、ヤヨイ・ロビンソンさんが「私の祖母は戦時にすべての家族を失ったが、ただ一人生き延びた。おかげで今日の私がある」と話した。
 ハワイから毎回参加しているケン吉田さんは亀甲墓の中に避難した住民のこと、ハジ上原さんは戦後すぐに多くの男性を戦時で失い、免許もない女性が教員として採用された話などを取り上げた。
 4回目のワークショップは11月19日に行われ、真境名本流師範の真境名愛子さんがゲストに招かれた。琉球舞踊の歴史、種類、琉球舞踊と日本舞踊との違いなどについて説明、最後に皆で輪になってデモンストレーションをした。
 デニス上原さんは「私は2年前にアメリカ政府から派遣され那覇、糸満、石垣島を訪れた。親せきやそのほかの人たちの親切さが忘れられない思い出として心に深く刻まれている」と回想。一方で、「沖縄にあるアメリカ軍の基地の広大さに驚いた。その2つの矛盾が葛藤(かっとう)となって私の頭をよぎる。この複雑さをより理解できるようにしたいとワークショップ、シェイプオブメモリーを思い立った」と話した。
 さらに上原さんは「ロサンゼルス市から2つの助成金が今年になって授与されたのを機会にこの研究会を設立、沖縄の人々がなぜ世界へと飛び立っていったのか、その歴史と生活体験を参加者と一緒に学んでいきたい。このグループの研究には目覚ましいものがある。互いに切磋琢磨(せっさたくま)して自分自身のアイデンティティーを見つめ直し、向上していく配慮が感じられる」と語った。
 (当銘貞夫通信員)