prime

運転免許の国外→国内切り替え手続き、愛知は1分で予約満員 競争率が高すぎる!?(中日新聞提供 ~パートナー社から~)


運転免許の国外→国内切り替え手続き、愛知は1分で予約満員 競争率が高すぎる!?(中日新聞提供 ~パートナー社から~)
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

国外の運転免許を国内の免許に切り替える手続きで、愛知県警のオンライン受け付けは30秒~1分で定員に達してしまいます。困っている外国人が多いのでは。 

同県の40代男性会社員 

 受け付け開始から1分足らずで定員に達するのは人気アーティストのライブチケット並みの競争率では。愛知県警運転免許試験場(名古屋市天白区)を訪ねると、深刻な事情が見えてきました。

言葉、人員… 1日の対応に限度

 昨年末、インドネシア国籍の女性、メリナ・アングライニさん(28)=愛知県あま市=は県警運転免許試験場で学科試験を終え、「やっとここまで来た」と胸をなで下ろした。同年1月に仕事の都合で来日し、翌2月には免許が切り替えられると考えていた。だが、想定通りにはいかなかった。

 オンライン予約は連日、午前7時半の受け付け開始から1分足らずで埋まってしまう。週2、3回挑み続け、予約できたのは昨年10月だった。今月、ようやく実技試験まで進み、「すぐに免許が切り替えられると思っていたのに、こんなに時間がかかるとは…。仕事で送迎してくれる友人にも迷惑をかけてしまった」と苦笑した。

 彼女の話は大げさではない。今月16日分のオンライン予約の受け付けが始まった2日午前7時半、記者がサイトを確認すると、やはり1分足らずで、全ての時間帯が「受付終了しました」の表示になった。外国人の申請を手助けしているアジア系の男性は「名前や国などを入力する間に枠がなくなる」と嘆く。

 県警によると、オンラインで予約受け付けを始めたのは2022年3月。24時間対応できるといった利便性から導入した。定員は日によってばらつきがあるが、平均37人程度だ。

 一方、同試験場で免許の切り替えを審査する担当者は4人で、全員が決して外国語が流ちょうなわけではない。申請書類に不備があったり、申請者が日本語を話せなかったりすることも多く、対応に苦慮している。通訳の同行をお願いしても実際に同行する人はほとんどいないという。

 英国や韓国などの免許を持っていれば特例で学科、実技試験が免除されるが、インドネシアなどは特例が適用されない。試験で不合格になるケースも多く、予約が取れてからも難関は待ち構える。

同試験場へ免許の切り替えに訪れたのは、22年2月までの1年間が6215人だったのに対し、オンライン予約を始めた同年3月から23年2月までの1年間は7366人に。同年3月以降は12月までの10カ月間で7654人に上った。コロナ禍が落ち着き、今後も増える見込みだ。

 県警は申請を1件ずつ確認して重複を排除し、当日のキャンセルが出れば即座に補充枠も設けている。ただ、担当者の数を増やすのは難しく、状況は好転しない。同試験場の担当者は「申請の人数が増えているのは全国的な傾向。早急に何らかの対応をしたいが…」と話した。

中部の他県では待ち時間「月単位」

 中部6県のうち、愛知県を除く5県での国内免許切り替えの受け付けはいずれも電話予約制だ。予約は必ず取れるようにしているが、手続き開始までの待ち時間は長く、交付には時間がかかってしまう。各県警ともスムーズに取得できるよう知恵を絞っている。

 岐阜県は平均で4カ月待ち。書類審査が通れば1カ月後に適性試験に進む流れで、最短でも申請から切り替えまで5カ月ほどかかる。従来は予約できる日を3カ月先までとしていたが、昨秋からもっと先の予約もできるようにした。「電話した時点で必ず予約が取れるので安心感はあると思う」と担当者は説明する。

 三重県は3~4カ月待ちだ。申請者には日本語を話せない人も多く、担当者は「1人当たりの対応の時間が長く、1日に手続きできる人数は限られる」と話す。免許を新規に取得した方が早い場合もあり、県警は学科試験で、英語、ポルトガル語、中国語に加え、ニーズが増えるベトナム語を昨年12月に導入した。

 長野県は平均で1カ月半待ちだが、冬場は外国人の農業実習生が少ないためか、現在の待ち時間は2週間程度という。書類審査、適性試験、学科、実技の全てに合格すれば免許証が即日交付される。ただ、実技の合格率は低く、県警の担当者は「教習所に入るよう助言している」と明かす。

 滋賀県は1カ月から1カ月半待ちの状況。手続きの初日はできるだけ同じ言語の人を集めて説明したり、予約の時点で時間がかかることが予想される人を別枠にしたりして、手続きの効率化を図り、できるだけ多くの人に対応できるようにしている。

 福井県は3カ月待ちという。トラック運転手の残業規制強化で物流の人手不足が深刻化する「2024年問題」に伴い、新たな労働力となる外国人の免許の需要増も見込まれることから、県警の担当者は「国に対策を考えてほしい」と訴える。

 警察庁運転免許課は、申請から交付までに時間がかかっている現状に対し「円滑な手続きが行われるように、外国語での案内を都道府県警のホームページに掲載するなどしていく」とした。

 (中日新聞・高橋雅人)

 

<あなたの声寄せてください>

琉球新報「りゅうちゃんねる あなたの疑問に応えます」は、読者からの寄せていただいた疑問を受けて取材します。暮らしの中で感じている身近な疑問をLINE公式アカウントなどを通してお寄せください。友達登録はこちから↓