鮮やかな原色の輝き  沖縄の植物漫歩(6)


鮮やかな原色の輝き  沖縄の植物漫歩(6)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
新しく移入されたクロトン品種

 沖縄の人たちですと、誰もが知っているクロトン。クロトンの特徴は、なんといっても葉の赤、緑、黄色の鮮やかで目の覚めるような原色の輝きと葉の形がいろいろと変化していることです。クロトンは太陽光線が強すぎますと、葉の新芽に葉緑素の欠如が起こり、その部分が黄色、黄白色に変化し、こうこうと光り輝いて、他の植物には見られない美しい姿に変身するのです。

 また、園芸植物の中で葉に赤色系の班が入る植物は、木本類ではアカリファ、クロトン、千年木、カエデなどに見られます。その中でもクロトンは代表的な観葉植物です。

 クロトンの葉の形には、広葉系、長葉系、細葉系、らせん葉系、ほこ形系、有角系、飛葉系といろいろな形があります。このように色彩の変化とともに葉の形が著しく変化しているので「変葉木」と和名がつけられていると思います。葉の変化したものの中に飛葉がありますが、飛葉とは単葉で葉身の先端が主脈のみとなり、その先に再び小葉をつける葉のことですが、クロトン以外でこのような葉の形をした植物は見たことがありません。クロトン特有な葉形です。

 クロトンの園芸品種名は桃原農園植物総目録(1937~39年ごろ)に72の園芸品種名が記載されており、今日まで引き継がれています。

 また、一つの種から、このように多様な色彩や葉形の変化、枝変わりなど、個体差が著じるしく千変万化に変わる植物はクロトンだけしかありません。秋から冬にかけて一番色鮮やかに光り輝き、嬌艶(きょうえん)な美しさを醸し出します。大変魅力的な植物です。

(NPO法人沖縄有用植物研究会 野国昌慶)

(2014年11月21日琉球新報掲載)