沖縄の自然海岸、親子で楽しむ5つのポイント しかたにさんちの自然暮らし(21)


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 今年は何だか、いつまでも暖かくならないな~と思っていたら、急に夏っぽくなりましたね。南からの湿った風と、強い日差しで、いきなりTシャツの季節になった感じです。

 暦の上でも夏になる立夏は、今年は5月5日の子供の日。ゴールデンウィークには、海に遊びに行く計画を立てている人も多いことでしょう。設備の揃った人工ビーチで賑やかにバーベキューも楽しいけれど、本物のサンゴ礁の海を見に行くのも、いいものですよ。ゆったりとした海の自然の中で暮らす生き物たちに、会いに行ってみませんか?

 今回は、なるべく海の生き物たちに負担をかけずに彼らと遊ぶためのポイントを、いくつかお伝えしたいと思います。

ポイント1:すぐに触らず、そ~っと観察!

 生き物を見つけたら、すぐに手を出さず、驚かさないようそ~っと観察する。1〜2分静かに待っていれば、餌を捕まえたり喧嘩したりといった、自然ならではの生き物の暮らしが見られるでしょう。

ポイント2:採集道具は持って行かない

穴の側でじっと待っていると、ベニシオマネキが出てきました。まつ毛がかわいい。
ウデフリクモヒトデは触っても刺さないけれど、そっと扱わないと腕が切れてしまいます。

 熊手やスコップ、手網などがあると、見つけたものを全部採集したくなります。そして実は、砂を掘るだけで、気づかずに巣穴を壊したり、生き物を傷つけたりすることもあります。そこで、採集するよりもおススメなのが手頃な水中カメラ!生き物を撮影して思い出を持ち帰る方がずっと楽しいし、サンゴやシャコガイのように移動しない生き物なら、毎年の成長を記録することだってできます。道具で「捕る」よりカメラで「撮る」、ですね。

ポイント3:危険生物は事前にチェック!

 危ない生き物に気をつけて、知らない生き物には触らない。海には、餌を捕まえたり、敵から身を守ったりするために、棘や毒を持っている生き物もいます。彼らの暮らす場所に私たちがお邪魔するのですから、彼らを驚かさないよう私たちの方が気をつけましょう。海に出かける前に、海の危険生物について調べておくと安心です。

 沖縄県のウェブサイトなどが参考になりますよ。

ポイント4:生き物は元いた場所に戻してあげて

 生き物は持ち歩かない。触っても大丈夫な生き物は、そっと手にとってもいいけれど、その場で観察して、必ず元いた場所に優しく戻してあげてください。持ち歩いて別の場所に連れて行ってしまうと、自分の巣穴に戻れずに、敵に食べられてしまうかもしれませんから。

ポイント5:ひっくり返したら元に戻そう

石の裏側に、巻貝類の卵嚢がたくさん産み付けられていました。

 生き物を探してひっくり返した石は、元に戻してくださいね。石の下には生き物の卵が産みつけてあったり、日陰が好きな生き物が住んでいたり、魚に見つからないよう小さな生き物が隠れていたりします。自分の家がひっくり返されたら、誰だって嫌ですよね。

 以上が5つのポイントです。これからの海遊びは、海の生き物をむやみに採集するのではなく、自分も海で暮らす生き物になったつもりで、ゆったりと海の自然を感じてみてください。きっと、新しい発見があると思いますよ。

鹿谷法一(しかたに自然案内)

 しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。