甘いプレゼント企画にご用心  モバプリの知っ得![22]


甘いプレゼント企画にご用心  モバプリの知っ得![22]
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

「素敵なプレゼントが当たる!この投稿を拡散させるだけで応募完了!」
SNSでこのような投稿を見かけたことはありませんか?

懸賞・プレゼントキャンペーンは、テレビ・ラジオ・雑誌などでも行われている歴史のある企画です。「応募シール5枚を集めると抽選で当たる」「クイズに答えて2名様を海外旅行へ!」など聞き覚えがあるかもしれません。

TwitterなどのSNSを使った懸賞・プレゼントキャンペーンもさまざまな内容のものがありますが、最近では投稿を拡散するだけでエントリーが完了する「お手軽タイプ」が登場しています。

シールを集める必要も、ハガキを出す必要もなく、ボタンを押して数秒でエントリー完了。
簡単に応募でき、豪華プレゼントが当選する可能性があるのなら、誰もが参加したくなります。
そのため、SNSでのお手軽プレゼントキャンペーンは数万人が参加する「お祭り」になることも。

しかしながら、この手軽さを逆手にとり悪いことをたくらむ人もいます。

「プレゼントします!」とアピールしながら実際はプレゼントをしない、プレゼントを発送するように見せかけて個人情報を集める、などその悪質さは多岐に渡ります。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

プレゼントに釣られて静さを失って、悪い人に引っかかるのは避けたいところです。

拡散した「RTした全員にNintendo Switchをプレゼント!」

プレゼント企画がネットで盛り上がったのは、先週9月5日。

人気YouTuber(動画配信者)の「ヒカル」氏を装った偽物が、「リツイート(転送)した全員にNintendo Switchをプレゼント」とTwitterに投稿し、10万以上の人がリツイートしました。

Nintendo Switchは人気の携帯ゲーム機で、定価は約30,000円。発売以降ずっと品薄のため「リツイートするだけでNintendo Switchが手に入るなら」と、軽い気持ちで参加した人がほとんどだと思います。

こうしたSNSを使ったプレゼント企画は「応募=拡散」になるため、参加した人が次の参加者を生み出す構造になっています。

今回は ①人気YouTuberを装った投稿だったこと ②プレゼントの内容が豪華だったことーから、多くの人が参加するお祭りとなりました。

しかしながら本当に全員にプレゼントをすると想定すると、運営側は「30,000円×100,000人」でゲーム機の仕入れだけで30億円必要になりますし、現在の在庫状況でNintendo Switchを人数分確保するのは不可能です。

安易にプレゼントキャンペーンに参加したらダメな理由

もしかしたら「全員にプレゼントするわけではないでしょ。怪しいよね。」と思いながらも、万が一の可能性を捨てきれずに、参加した人がいるかもしれません。

参加しても、お金を取られるわけじゃないし、直接的な被害も分かりにくいため、参加したらダメな理由が分かりにくいという人もいるかもしれません。

しかしながら以下の理由で、「安易にプレゼントキャンペーンに参加しない」ことを声高らかに訴えたいと思います。

「騙しやすいリスト」として狙われる

SNSでの「拡散応募」の場合、誰が拡散に参加しているのかを第三者も確認することができます。
こうした嘘か本当か分からないキャンペーンに参加している人たちは、素直な人。
意地悪な言い方をすると「騙しやすい人」と呼べるでしょう。

数万人規模の「騙しやすい人」リストは、悪い人たちからすると喉から手が出るほど欲しいでしょう。

気軽にキャンペーンに応募することで、悪意ある人たちに狙われ、次なるトラブルに巻き込まれる可能性があります。

 

住所などの個人情報を聞かれる

今の時代、名前・住所・電話番号などの個人情報が分かると、いろいろなことができます。
悪い人は個人情報をどうにか入手して、悪事に使いたいはずです。

しかしながらストレートに「個人情報を教えてください」と言っても、教えてくれる人はさすがに少ないはず…。

そこで役立つのが「プレゼント企画」という設定です。

「プレゼントに当選した場合、発送情報が必要です。名前、住所、電話番号を教えてください」とメッセージで聞く。なんと自然な流れでしょうか(感心したらダメですが)。

「住所を聞くということは、プレゼントが当たるかもしれない…」と期待を煽って、冷静に判断させない。これも悪い人の常とう手段です。

アカウントを乗っ取られる

これは「拡散応募」などの手軽は方法ではなく、少し手の込んだ方法です。

キャンペーン用のサイトを作り、そこで応募します。そこでTwitterやFacebookと連携するようにログイン画面を出して促し「私たちが代理で投稿します」と権限を渡す規約に同意させる方法です。

ここで安易に提携すると、SNSに自分以外の第三者が勝手に投稿できるようになるのです。
偽物サングラスの購入を誘導する投稿、アダルトサイトへの移動を促す投稿など、恥ずかしい内容のものも多くなっています。

自分の乗っ取り投稿を見た友人が被害にあう可能性もあるため、周りの人に迷惑をかけないためにも慎重になる必要があります。

見極める方法は?

考えれば考えるほどリスクの高いプレゼント企画ですが、きちんとプレゼントをする、安心安全なプレゼント企画もあります。

安全なプレゼント企画と、怪しいプレゼント企画を見極める方法は大きく2点。

1.きちんとした会社・個人か、偽物じゃないか確認する

プレゼントを企画・受付している会社がきちんとした会社・個人か確認します。

Twitterの場合は、Twitter社が本物か確認を取っているアカウントは名前の後ろに青いチェックが入っています。 

「青いチェックが入っていない=偽物」と決めつけられるわけではありませんが、判断基準としては意識的に見る必要があります。

また、会社や個人のHPなどにTwitterアカウントがリンクされている場合が多いため、Twitterだけで見極めることが難しい場合は、ホームページなどをしっかり確認し、なりすましていないか確認する必要があります。

2.プレゼントの総額、普段の投稿で判断する

前述した「人気ゲーム機全員プレゼント」は総額30億円を超えるビッグプロジェクトになりますが、人気YouTuberとはいえ、ここまでの規模でプレゼントするのは不可能でしょう。

プレゼントの内容、総数などは妥当性を判断するひとつの材料になります。
「この人、本当にこれだけの金額分プレゼントを用意するのかな?」と常に考える(疑う)ことが大事です。

また普段の投稿なども見て、信用できる人なのか、冗談じゃないかもチェックしてみましょう。

以前、紹介した「ネタ」と「デマ」の話も、普段の投稿を見ると、ふざけていることすぐに分かるようになっていました。

「ネタ」が「デマ」に!? ツイート前に意識したい情報の正確性 モバプリの知っ得![20]

以上2つのポイントをおさえ、きちんとリスクを認識し、常に警戒心をもってプレゼント企画には参加しましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」9月10日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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