【動画】「寄生獣」のミギーが海にいた!?〈沖縄・海の生き物たち Vol. 2 〉


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7本の角を持つクモガイ

サンゴ礁の浅瀬で、ごろん、と大きな巻貝に出会います。ごつごつした背中、上下と貝の片側に合計7本の角を伸ばした、クモガイです。

子どもの貝殻には角がなく、ある程度大きくなると伸びてきます。近寄ると危険を感じ、殻の中に身を縮めて動きません。やがて、そうっと殻のくぼみから2つの目ん玉を伸ばしてこちらを伺います。

試しに貝をひっくり返すと、貝殻は紫やオレンジ色の艶やかな美しさ。そして、少しずつ目を伸ばし、茶色いカマ形の爪と緑色の全身をぐうっと伸ばして、爪で砂地を引っかけてばたん!と元に戻る。これが面白くてつい何度も観察したくなりますが、あまり繰り返すと、警戒して出て来なくなるのでほどほどに。

この目ん玉と茶色い爪、柔らかく伸びる体は、まるで漫画「寄生獣」に出てくるミギーそっくり。でも、カマを振り回して相手を食べたりしません。藻食性で、岩の表面に生える小さな海藻を、象の鼻みたいな口を伸ばして削り取ります。爪は、巻貝のふたが変化したもの。これで砂地を引っかくようにして、ひょこひょこと歩きます。

沖縄で食用にされるマガキガイ(ティラジャー)の仲間で、身は美味しい。でも、ティラジャーほど数がいない上、潮干狩りの良い獲物にされ、ずいぶん減りました。貝殻がごつく、角の太い年寄りの貝はなかなか見られません。また増えてくるまで、採らずに海に残しておきませんか?

Vol. 2 クモガイ

Lambis lambis

● 目:新生腹足目 Caenogastropoda

● 科:ソデボラ(スイショウガイ)科 Strombidae

● 属:クモガイ属 Lambis

 

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。