新卒が集まらない、中堅が辞める・・・「終身雇用」の建前を解き中小企業がやるべきたった1つのこと【働き方改革@沖縄(17)】

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2020年卒の大学生新卒の求人倍率は1.83倍。ただし、従業員300名未満の中小企業に限ってみると、8.62倍。従業員5000名以上の大企業は0.42倍(リクルートワークス研究所調べ)。相変わらず今年も、「中小企業は売り手市場で、大企業は買い手市場」という二極化が続いているようです。

いつの時代も、多くの人は大手有名企業で就職して安定したいと思うものですし、私は少々数字が極端だなぁとは思いますが、今さら驚くべきことでもないと思います。またこの傾向は、私が採用コンサルタントとしてお手伝いしている沖縄県内の採用環境も、ほぼ相似形だと言っていいと思います。




◇執筆者プロフィル 

小宮 仁至(こみや ひとし) ファンシップ株式会社 代表取締役

広告会社やWEBマーケティング会社を経て、2015年にファンシップ(株)を創業。2016年より「レンアイ型採用メソッド」を提唱し、企業へのセミナーや求職者への採用支援を実施している。1979年生まれ 熊本県出身。うちな〜婿歴11年の2児の父。



SNS時代の学生と求人票



私がある大学内で合同企業説明を開催したときの話。
時は就活シーズン真っただ中、大学内のキャリア支援センターで企業と学生のマッチングイベントを行っていました。

早めに来場してくれた女子学生さんに、事前に話を聞いて驚いたことがあります。
それは、就活をしている学生が自分の大学のキャリア支援センター(就職課)に貼ってある各企業からの求人票を見たことがない。と言うのです。



ちなみに、彼女は就活を積極的に取り組んでいる学生です。大手が大きな会場を借りて大々的に行っている就活イベントにも参加しています。それなのに、自分の大学に貼ってある求人票は見たこともない。

「売り手市場だから、学生がなめている」

というのは、穿ったオトナの発想です。よくよく聞いてみると答えは納得。
「だって、あれには嘘が書いてあるでしょ?【残業無】って書いてあっても本当はあるんでしょ?」

「私は学生時代に特にコレと言って頑張ったわけではないから、社会に出てすぐは頑張らないといけないとは思っています。だから先輩より帰りが遅くなるのは当たり前だと思う。私が知りたいのは、その会社が愛のある育成をしてくれるのか?それとも本当のブラック企業なのか?であって、残業有り・無しの項目を見たいわけじゃないんです。」

彼女らは、常にスマホを持ち、文字ツールでコミュニケーションを取り続けた世代です。文字だけで伝わることや、画像や動画で伝えること、それに加え「実際会ってみないと分からないこと」の線引きが、はっきりわかっている世代なのかもしれません。
つまり旧態依然とした、待遇や勤務時間や当たり前の会社概要だけが並べられている求人票に瞬間的に情報の価値を感じないと切り捨ててしまっているようでした。

それは「企業が発信する建前のような情報は、スルーして、本音を話してくれる人の情報をキャッチする力」を備えている。そういう世代なのだなと感じました。



終身雇用という最大の建前



さて、ここで私が思う採用難で苦しむ企業の最大の建前、矛盾点は「終身雇用」だと思っています。この変化が激しい時代において、「22歳から65歳まで安心して働けるよ。」と言い切れる企業はどれほどあるのでしょう?

もちろん、「大変だし、雇われているキミたち自体の頑張りにもよるけど、キミたちがそのつもりなら会社だってまだまだ終身雇用でやっていくよ。」と言っている企業はあるでしょう。企業側だって嘘をついているわけではなく、本当に従業員の雇用は守ろうと思っている。それが前述の大手企業の求人倍率0.42倍という数字に繋がるわけです。

恋愛に例えると終身雇用は結婚と同じですね。
「病める時も健やかなる時も、会社(従業員)を愛し、敬い、慈しむことを誓える」状態が終身雇用を信じあえている状態です。
そんな相手に22歳の時点で巡り合えてしかも、その恋が成就して、生涯ずっと愛し続けれられる関係…。いや~、理想ですね。

一方で、会社の歴史も浅く、従業員数も少ない会社が、従業員5000名以上の大企業と同じように「終身雇用」を誓ったとして、信じてもらえるでしょうか?
ちょっと無理がありますよね?
恋愛に例えるなら
「大手商社に勤め、祖父の代から都心の一等地に暮らしている地元で有名な御曹司」と「地方の20名規模の会社の勤め、学生時代から住むアパートに暮らす若者」からのプロポーズ、どちらが「安心」できるか?という話ですね。



もちろん、「多くの人」は前者を選ぶでしょう。
ただし、それは「多くの人」であって「全員」ではありません。中には、後者の男性の方が好きだし、信用できる。御曹司のお父様やお母様との暮らしなんか、窮屈に感じて生きた心地がしない。今は生活が楽じゃなくたって、2人で力を合わせて一緒に幸せになろう。という価値観の人だって当然います。

いかがでしょう?企業は今、必ずしも「建前としての終身雇用」を誓わなければならないでしょうか?



永遠の誓いに代わる◯◯



この問題は、何も新卒採用における課題だけに止まりません。多くの中小企業が直面している「社員の高年齢化問題」にも影響しています。
従業員30名程度の企業で、業績も順調。社会的信頼もある。なのに、従業員が50代60代に偏り、毎年新卒で20代を採用しているが、なかなか定着しない。しかも追い打ちをかけるように30代40代の中堅が辞めていく。という課題に直面している企業が増えています。



こういう企業の経営者は、そろそろ思い切った働き方を取り入れる時期に来ていると思います。30代40代の従業員が辞めていくことは、必ずしもその企業だけの問題だけではありません。社会の情勢上、「今の会社にいると、このあと30年40年間ずっと働けるだろうか?」と考えた時に、たいていの企業は「NO」だと感じてしまうのです。
つまり、終身雇用の誓いが、たいていの企業は「建前」に感じてしまう。それは、これまで「安定していると言われてきたあの会社やあの業界だって、危ない」というニュースが毎日のように流れるわけですから、仕方ありません。

となれば、ここは思い切って
「うちはとても終身雇用なんて約束できない。その代わりにキミたちに〇〇〇〇を与えることができるよ。」
というこの「〇〇〇〇」を発信していくことが重要になります。
この「〇〇〇〇」は、お給料ではありません。労働の対価としての給与は当然です。それ以外の何かです。

例えば
「うちで働くと3年以内に資格を取得した先輩が80%以上います。働きながら勉強できる職場ですよ。」

「業界で初のサービスを展開している会社です。将来自分のビジネスアイデアを展開するときのノウハウが実体験できる環境があるよ。」

「40年培ったノウハウと信頼があります。今、この会社に入ればその土台を基に新規事業を任せるので、自分でゼロから独立するより危険がないですよ。」

「うちの事業のこの部分の仕事はレギュラーであります。あなたにはこの成果だけを求めるので、それ以外の時間は複業をしてもらってもいいし、出社もこの案件に関わる会議のみで結構です。」

などなど、「終身雇用」という中小企業にとっては、もはや幻想に近くなって誓いの代わりの「〇〇〇〇」というのは、無限にあります。



中小企業にとって、「人材不足」「売り手市場」「若手中堅の離職」は死活問題です。でも、それは視点を変えれば、チャンスに代わる環境の変化かもしれません。「終身雇用」を誓わなければならない、という呪縛を解き放ち、多種多様な働き方や雇い方が生まれてくる夜明け前の今を楽しみましょう!

きっと終身雇用に代わる、みなさんの会社のなりの答えは、社内に眠っています!



執筆者プロフィル 小宮 仁至(こみや・ひとし)
ファンシップ株式会社 代表取締役

http://www.funship.jp/

「レンアイ型採用メソッド」「レンアイ型就転職コンサルタント」として、商工会議所など公的機関でのセミナーを随時開催し、2016年以降1000社以上が受講。就・転職者向けセミナーや個別相談300件以上、中小零細企業向けの採用コンサルティングでは個別相談企業300件以上、契約企業で6カ月以内の採用成功率は87%。沖縄県商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、沖縄県産業振興公社登録専門家。1979年生まれ 熊本県出身 2002年より沖縄移住。うちな〜婿歴11年の2児の父。




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