家庭菜園をしたいけど、野菜をうまく育てられない方に、ぜひ植えてほしい島野菜があります! それは、昔沖縄のどの家にも植えられていた「クワンソウ」です。和名は秋の忘れ草、常葉萱草(ときわかんぞう)といいますが、沖縄ではにーぶい草とも呼ばれています。
クワンソウは、株で増えるので台風や日照りにも強く、簡単に育てられ、自分で増えてくれます。そして、1年中楽しませてくれる野菜です。まず葉っぱは年中、必要な分を切ってお茶にして飲むことができます。
2月から6月は、白い茎の部分を野菜として食べます。クワンソウはユリ科の植物なので、さっと湯がいたり、炒めたりして、必ず火を通してください。茎は苦みや強い香りもないので、いろいろな料理に合わせやすく、あえ物やチャンプルーにしてもおいしいです。
クワンソウは野菜なのですが、昔からぐっすり眠りたいときにクワンソウを魚や肉と一緒に炊いてシンジムン(煎じ物)として食べていました。体にいい野菜であることを先人たちは知っていたんですね
9月から11月にはオレンジ色のユリのような花を咲かせます。いっぺんに咲くのではなく、ついたつぼみが順々に朝咲いて、夕方しぼみますので、2~3カ月もの間、花を楽しめます。また、花は花粉を落としてそのままサラダや酢漬けにして食べることができます。レタスのような食感でほんのり甘い、優しい味がします。つぼみは、高級食材として中華料理でよく利用されるそうです。
おいしくて体にいい沖縄の伝統野菜が各家族の庭からも広まる日がくるよう願っています。
(NPO法人沖縄有用植物研究会 長濱徳勝)
(2014年11月6日琉球新報掲載)