琉球新報Style初となる、学生ライターによる連載が始まります。その名も「ロックダウン世代になった就活生のリアル」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、インターンや採用試験もオンラインへ移行するなど、就職活動も今までと大きく様変わりしています。そんな新しい日々を手探りで進む学生の皆さんのリアルな感情や、葛藤などを体験記として記していきます。
こんにちは。学生ライターの天久泰成です。私はこれまでの連載で「質問の仕方」や「企業分析の仕方」について発信してきましたが、今回は私の就職活動の状況についてお話しします。
自己アピールの突破口に!企業研究のポイント ロックダウン世代になった就活生のリアル(15)
https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-1324759.html
結論から言うと、元々第一志望だった業界の企業を3社受けていましたが、全部落ちてしまいました。そこから志望する業界を変え、1つの企業から内定をいただくことができました。全落ちから内定までの期間で、改めて見直したこと、考えたことを中心に記していきたいと思います。
「まさかの不合格通知」
「慎重に選考申し上げた結果、誠に残念ですが今回はご期待に添えないことになりましたので、ご通知申し上げます。」
約1年ぶりに届いた不採用通知。「久しぶり!」と言わんばかりに、ふらっとスマホの液晶に映った言葉に、最初に出てきた感情は「これだけの準備をしていたのに、なんで?」という驚きでした。その後も、同じような通知がいくつか届き、第一志望に考えていた業界の企業はまさかの全落ち。正直、志望企業に入社するために、誰よりも行動してきた自信があったので、とてもショックでした。
既卒で受けているという他の就活生とは違う状況の中で、なんとか1つのイスを勝ち取るために、とにかく行動を起こすしかないと思い、誰よりも業界研究、企業研究をしてきた自負はありました。日々の新聞を読み込み、中期経営計画、ディスクロージャー、時には実際に店舗に足を運ぶなど、自分ができる行動はほとんどしてきたつもりでした。それでも結果につながることはありませんでした。今思い返すと、「これだけ行動してきたんだから、企業の人もきっとわかってくれるだろう」という甘い気持ちがあったのかもしれません。
この「行動した量」が評価されるのは学生の世界だけ、言い方を変えると「詰め込んできた知識や情報の量」で評価されるという評価基準で、物事を考えていたのかもしれません。
しかし、社会に出たら情報を集めるだけでなく、それらを駆使して、もう一段踏み込んでどう成果に繋げていくのか。そう言った準備をしないといけないと思いました。そのようなことから、自分の行動に対して、自信を超えて「驕り」があったなと感じました。
そのような驕りを抱えたまま就活していき、今振り返ると面接練習は全然ダメダメな状態なのに、「まぁ、なんとかなるでしょ」と思い、本番では案の定、集めてきた情報やそれらを活かした自己アピールを最大限伝えることができませんでした。どれだけ行動をしてインプットしようと、それを自分の魅力をアピールすることを含め、相手にわかりやすく、印象的に伝えることができなかった私に「全落ち」という結果は必然だったのかもしれません。驕りと自分の魅力が伝わるように話せなかったことが敗因だと考えました。
「志望業界の転換」
先ほどお話ししたように、受けていた企業から全て不合格通知をいただいたわけで、気持ちはどん底です。頭の中は「このまま決まらなければ、去年の二の舞じゃん…」と、ネガティブな感情が渦巻いていました。
「でも、企業の情報を調べないと前に進まない」という思いもあり、就活サイトを見始めました。このような状況の中で、私の中で良かったなと思うことは「次の就活の軸」がすぐに定まったことです。志望していた企業は沖縄では大きな企業ということもあり、選考を受けていく過程で、ふと出てきた感情の中に「良くも悪くも会社の名前で仕事していくことになりそうだな」という気持ちがありました。その気持ちをもっと細かく噛み砕き、いろんな角度から考えた結果、「自分の身につけたスキルや実力で、会社や世の中に貢献していきたい」という結論が出ました。そのような軸をもとに、まだ説明会を開いている企業を探し、いくつかの企業の選考に進みました。
「面接は復習が大切」
面接は、練習をおろそかにしていた分、不安しかありません。そこで友人に面接練習に付き合って欲しいと頼りました。その時、彼から「終わった面接、復習している?」と言われました。
これまでは面接の後に「質問にうまく答えられなかったな」と考えはするものの、「次、同じ質問がきたら、〇〇と答えよう」というところまでは詰めきれていませんでした。この言葉を友人に言われた時は、正直に言って、耳が痛い言葉でしたが、これをやらないことには次には進めないという気持ちもあり、これまでの面接の記憶をたどり、面接官にされた質問、それに対する回答をできるだけ思い出して書き出し、模擬面接を行う時には常に録音し、話し方の癖やとっさに出てきた言葉を事細かく友人に指摘してもらいながら、対策をしました。例えば、私の癖の一つに、「事実を述べて終わってしまう」というものがありました。もっと具体的に言うと、私の学生時代に頑張っていたことに大学野球での経験があるのですが、対策前は「私は大学野球で中学以来の投手に挑戦しました。ブランクがあったのですが、そこで練習を工夫し、大会で結果を残すことができました」という形で終話していました。
それだと、「ただ事実を伝えて『ふぅーん』という感想で終わってしまう」と指摘を受け、「その事実(体験)から自分がどう考えたのか、何を学んだのか、というところまで伝えないといけない」とアドバイスされました。
そのアドバイスを受けた後は、「私は大学野球で中学以来に投手に挑戦しました。ブランクがあったのですが、そこで練習を工夫し、大会で結果を残すことができました。この経験から、自分に足りないものを自覚し、そこを計画的に埋めていけることが私の強みだとわかりました。御社での業務は未経験ですが、この強みを活かして、粘り強く成果を出せるように努力していきたいです」というような形で話すことを意識しました。
上述のようなQ&A以外の質問にも癖を一つ一つ意識して、直すようにして友人との面接対策を行いました。その甲斐もあって対策後に受けた面接では、しっかりと自分を出すことができ、その中の企業から内定をいただくことができました。厳しい本音をぶつけ、面接対策にも快く付き合ってくれた友人には、本当に感謝してもしきれないです。
「どんどん周りを頼ろう」
就活において誰もがゴールと思ってしまう「内定」も、見方を変えればこれもまた1つの事実でしかありません。私が大切だと考えるのは、その事実から「何を学び」、「学んだことを次にどうつなげていくのか」ということです。もちろん落ちた面接を振り返ることは、自分の失敗を2回も味わうことになるので、精神的にもつらいし、本来であればそんな苦行をやりたくはありません。
でも、そんな時は「どんどん周りを頼る」。これに尽きます。周りを頼る利点は、客観的な指摘をもらえることです。客観的であれば感情に流されずに理性で判断できるので、的確なアドバイスがもらえます。
私の経験上、ここまで内定を貰えずに苦しんでいる方の多くは、客観的な意見があまりない状況で、1人で就活しているような状況に陥りがちではないでしょうか。私も一年前は内定を貰えず苦しんでいた側の人なので、そのような状況に陥っていました。だからこそ周りを頼りましょう。
また、すでに就活を終えた方にお願いがあります。周りの友達や、身近に就活で悩んでいる人はたくさんいます。その方を少しだけでもいいので、助けてあげてください。「就活なんて、自分次第だろ」という意見もわかります。それでもあなたの声かけやアドバイス1つで、就活生の見えている世界が変わります。私もこれからは今まで以上にサポートしていく立場に回ります。同じ時代に生まれ、これからの沖縄を支え、発展させていく同世代を思いっきり応援し、力になれるのは今しかないと思います。私たちの上の世代が「氷河期世代」と呼ばれているように、私たちは下の世代から「コロナ世代」と呼ばれることでしょう。そんな時に「苦しい思いもしたけど、たくさんの人に支えてもらい納得いく就活ができたよ」と言える時代になったらいいなと思っています。
話が少し壮大になりましたが、就活自体まだ諦める時期じゃありません!!苦しいかもしれませんが、とにかく行動を起こし、周りを頼る。みんなで乗り切りましょう!!!
プロフィール
天久泰成。琉球大学法文学部(現人文社会学部)4年。小中高大学まで野球を続けた野球小僧。かっこいい言葉、面白い言葉など「言葉」が響きやすい人間。誰かのきっかけになる「言葉」を発信できる大人になれるよう日々模索中。ローソンのメロンパンが好き。