ヤギ肉食べやすく 特有のにおい控えめ、肉質柔らか 発酵飼料で肥育、生産へ


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発酵飼料で肥育した「今帰仁ヤギ(仮称)」のバラ肉(手前)と肩ロース

 今帰仁村で大型・多産系統のヤギを研究・生産する玉城畜産の玉城照夫代表が、発酵TMR(完全混合飼料)を与えることで肉質が柔らかく、特有のにおいも抑えた「今帰仁ヤギ(仮称)」の肥育に成功した。独特の風味ゆえに好みが分かれるヤギ肉を「もっと気軽に食べてもらいたい」との思いで取り組んだ。

 玉城代表は獣医師の寺内光夫氏らとともに、年内にも今帰仁ヤギの繁殖から加工までを一貫して行う施設を整備し、県産ヤギを売り込む計画だ。

 寺内氏はヤギの肉質を柔らかくし、においを抑えるためには、良質な飼料と去勢が必要だと指摘する。試験肥育では、和牛や乳牛用の飼料を製造販売するケイアンドエス牧場サービス(栃木県)の製品を活用した。食品副産物を原料とする同社の発酵飼料は、主に第1の胃「ルーメン」の機能を整える作用があり、同社の飼料で飼養した牛は発育が良く、肉質も柔らかくなるとの結果も出ている。同じ反すう動物のヤギにも応用できないかと考え、昨年2月から去勢した肥育ヤギの飼料に取り入れた。

「今帰仁ヤギ(仮称)」の増産を目指す(左から)寺内光大氏、玉城畜産の玉城照夫代表、寺内光夫氏=14日、今帰仁村平敷の玉城畜産

 14日、関係者向けに玉城畜産で行われた試食会では、ヤギ肉の焼肉やしゃぶしゃぶが振る舞われた。焼いたバラ肉を試食したソムリエの阿見芳夫氏は「臭みがなく、脂の上質な甘味が口一杯に広がる。日本酒とも合いそうだ」と驚いた。ヤギ肉が苦手だという飲食業の男性も「これならおいしく食べられるし、いろいろな料理に活用できそうだ」と期待を寄せた。

 玉城畜産では寺内氏の指導の下、ヤギの健康管理を強化することで生産性の向上も図り、年間出荷数は現行の30頭から100頭を目指す。

 寺内氏は「ヤギ肉は栄養バランスに優れている。今帰仁ヤギを使ったソーセージやハムを製造販売することで、可能性を広げたい」と話した。

 玉城代表も「県内で消費されるヤギ肉の半分以上が外国産。今帰仁から良質のヤギを安定的かつ良心的価格で供給することで、地産地消にもつなげたい」と意気込んだ。

 (当銘千絵、写真も)


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