県内各支社・支局の記者が地域のイチオシを紹介する「J(地元)☆1グランプリ」。今回はユニーク販売機を紹介します。販売機といえど、飲み物だけにあらず。個性的な“あの食べ物”やくじ機能を楽しめるものなど、いろんな種類が登場しています。コインを投入すれば、商品と同時に話題のネタまで手に入ること間違いなし。友人や恋人、家族とドライブしながら、あなたもユニーク販売機を見付けてみませんか?
焼き芋 南城市玉城仲村渠・神谷産業
甘くてスイーツ感覚
南城市玉城の親慶原交差点近くにある「やきいも」と書かれた黄色の自動販売機が目を引く。500円を入れてボタンを押すと銀色の缶が出てくる。ふたを開けると、真空パックされた焼き芋が登場する。
焼き芋の自動販売機を設置したのは建設業などを営む神谷産業。同社の神谷善高社長は、宮崎県で就労支援に取り組む農福産業(宮崎県)の児玉雄二社長が開発した焼き芋の自動販売機で、障がい者の所得向上や雇用範囲を広げたいという考えに共感。昨年1月、神谷産業玉城支店(市玉城仲村渠)の前に設置した。
販売機の設置翌日、ラジオ番組で南城市出身のお笑いコンビのこきざみインディアンが、南城市に焼き芋の自動販売機があることを伝え話題になった。その後も、ほかのラジオ番組やユーチューブなどでも紹介され、購入者が続々と増えた。神谷社長は「最初は月に100缶程度の売れ行きだったが、現在では月約400缶も売れている。リピーターも多く、あるお客さんは県外にいる孫たちに送りたいと、支店を訪れて芋を20~30個買ってくれた」と喜ぶ。販売機は現在、同支店と合わせて県内に4台設置している。
芋はしっとりとした食感で、皮ごと食べることができる。神谷社長は「普通の芋よりも甘く、スイーツ感覚で食べられる」と語る。販売機には「あったか~い」「つめた~い」のボタンがあり、神谷社長は「夏場は冷えた焼き芋が食べやすくておすすめ」と太鼓判を押す。「障がい者支援のため、ぜひ多くの方に食べてほしい。購入の歳、缶は持ち帰らず横の箱に置いて」と笑顔で話した。
(金城実倫)
唐揚げガチャ 沖縄市美里・居酒屋「炭家」
大当たり 1キロどっさり
1キロ、500グラム、200グラムなど重量が書かれている紙が入ったカプセル。1回200円を払って挑戦し、紙に書かれた重さの唐揚げを揚げてもらえる「唐揚げガチャ」があるのは、沖縄市美里の居酒屋「炭家」だ。
店外に設置したカプセル玩具の販売機「ガチャガチャ」はランチタイムを含む営業中にチャレンジでき、部活帰りの中高生や家族連れ、居酒屋の来店客などさまざまな人が楽しんでいる。
島袋愛美店長(32)によると、唐揚げガチャは昨年春に設置した。会議で「何か面白いことで話題づくりをしよう」と考案した。夜の居酒屋メニューは焼き鳥が売りのため、鶏肉を活用できる商品として唐揚げが浮上した。
店員が書いた独特のニワトリの絵が個性を放つガチャ。中には約100個のカプセルが入っている。カプセルには200グラム、250グラム、300グラム、350グラム、500グラム、そして大当たりの1キロと、6種の重量が書かれた紙が入っている。
記者も挑戦すると「700グラム」の紙が出てくるラッキートラブルが発生。島袋店長は「たぶん、スタッフが書き間違えた」と苦笑いし、どっさり700グラムの唐揚げをくれた。
この唐揚げ、ニンニクやショウガをふんだんに使い、一晩たれに漬けた店手作りの一品だ。コロナ自粛で居酒屋に行けない中、自宅でおいしくいただいた。
(島袋良太)
琉歌お守り 恩納村おんなの駅・クレスト
沖縄のゆしぐとぅ発信
「肝(ちむ)に思(う)み染(す)みり 沖縄の寄言(ゆしぐとぅ)(教え)」―。そんな言葉が記された自動販売機が、恩納村の「おんなの駅なかゆくい市場」にある。琉歌がプリントされたストラップ型お守り(税込み500円)の自販機だ。設置・運営するクレスト(嘉手納町)の池原稔代表は「心が迷った時、支えとなる沖縄の教えを伝える『心のお守り』です」と力を込める。
インターネットラジオ「しまくとぅば放送局」などを運営する同社は、2018年から沖縄本島各地にしまくとぅばの自販機を設置。おんなの駅の自販機では女流歌人・恩納ナビーの歌などが刻まれたお守り40種類を販売している。商品ボタンにあるQRコードを携帯電話で読み込むと、歌の音読も楽しめる。
琉球王国時代の歌「情(なさき)ゆい他(ふか)に 頼(たぬ)むしゃ無(ね)さみ ちくじくとぅ浮世(うちゆ) 思(うむ)てぃみりば」(作者不明)は「世の中を考えると、人の情け以上に頼りになるものはない」と教えている。
同市場によると「琉歌の自販機はどこですか」と訪れる観光客もいる。「若い女性が多い。ネットで知り、沖縄の思い出に購入しているのでは」(市場職員)と反応はまずまずだ。
池原代表は「次は平和を願う歌を集めた自販機を作りたい。しまくとぅばと沖縄の平和の心を、世界に伝えたい」と意気込んだ。
(岩切美穂)
ヤギ肉 石垣市・ゴートファームエイト
ヒージャーファン待望
ヒージャージョーグー(ヤギ好き)待望の無人販売が、石垣市でついに誕生した。
市内でヤギの生産から食肉加工まで手掛ける「ゴートファームエイト」は1年半程前、会社敷地内にヤギ肉を販売する無人販売所を設置した。販売所内には冷凍庫が並び、冷凍保存されたヤギ汁、ヤギ刺し、ヤギのユッケが各千円で売られている。
社長の新垣信成さん(39)によると、ヤギ肉は流通ルートが確保されていない。精肉店でも常に販売しているわけではないので、一般の人が安定して購入するのは難しいという。販路の確立と、「おいしいヤギ肉を安く気軽に食べてほしい」(新垣さん)ことから無人販売を始めた。有人販売だと人件費がかさむため、千円では売れないという。
ヤギ汁は、1.5人前で、店で食べるよりお手頃だ。ヤギ汁にはこだわりがある人も多いため、あえて薄味で販売している。必要ならしょうゆやみそで味を整えてもいい。こってり派のために、ヤギ汁を買った人には、ニンニクとショウガでつけ込んだヤギ油も無料で付けている。
大きく宣伝していないが、ヤギ好きの中で浸透しつつあり、多い時には1日で20~30人が来ることも。もの珍しさで来た観光客がその味にはまり、宅配を求めることもあるという。
ヤギに目がない人も、そうでない人も一度試してはいかがだろうか。
(西銘研志郎)
暑い時は熱いものを?
今から十数年前、真夏にやんばるの海辺での取材を終えて、のどがからっからになり「何か冷たいものを…」と干からびた体で自動販売機を見つけたときは、砂漠の中でオアシスを見つけたかのような気持ちになりました。いざ、自販機の前に立つとほとんどの飲み物が売り切れ。唯一残っていたのが「ホットぜんざい」。
自販機でぜんざい自体売っているのをあまり見ないい中、その“レア”な商品がどうして今、しかもホットの状態で私の前に現れるのか。日頃の行いが悪いのか、何か試されているのだろうかといろいろ考えました。結局、のどの乾きを抑えきれず、買いました。おいしかったです。
(亜)
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