【南城】蔵の形をした「クラジ岩」がある養殖場の前にカラフルな自動販売機が1台。お金を入れるとキンキンに冷えたクルマエビが出てくる―。クルマエビの養殖や販売を営む南城市知念知名の板馬養殖センター(照喜名朗(あきら)代表)では7月28日から自動販売機でのクルマエビの販売を始めた。同センターによると、クルマエビがメインの自動販売機は国内では珍しい。販売機前ではクルマエビを買いに来た人たちがスマートフォンで自撮りをする姿もあった。
クルマエビの自動販売機を考案したのは板馬養殖センター社員の新垣奈菜さん(27)。「クルマエビは通常(同センターの)事務所で販売しているが、若い世代の来店者が少ないので、24時間、気兼ねなく購入できる自動販売機を導入した」と笑顔で語る。
板馬産の養殖クルマエビは、多くが県外向けに出荷されるか、一部は飲食店に卸している。昨年、新型コロナウイルスの感染拡大によって卸先の飲食店の休業が相次ぎ、売り上げに大きな影響が出た。新垣さんは「販売機の設置で、多くの県民に購入してもらい、板馬産のクルマエビのおいしさを知ってもらえたら」と期待する。
販売機で購入できるのは冷凍されたクルマエビでS、M、Lの3種類がある。「冷凍ではあるが、鮮度は抜群」と太鼓判を押す。このほか、釣り人から仕入れたマクブやタマンなどの旬の魚や保冷バッグと保冷剤、アイスクリームも購入できる。
事務所の裏側に設置された販売機は新垣さんがデザインを手掛け、後ろの壁は販売機の存在を際立たせるように一面黄色に塗った。「クルマエビや南城市のシンボルであるハートをポップに描いて、SNSなどで“バズる”ことができたら」と笑う。
販売開始から1週間、売り上げは好調だという。「ツーリングを楽しむ人や子育て世代の夫婦、親子連れが販売機を見て買ってくれる」と喜んだ。
自動販売機に関する問い合わせは板馬養殖センター(電話)098(947)0605。
(金城実倫)
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