米軍基地からの被害放置、国の責任を問う 嘉手納・普天間爆音訴訟、那覇地裁で初弁論


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第1回口頭弁論のため那覇地裁に向かう嘉手納・普天間行政訴訟の原告団ら=30日午後1時52分

 米軍嘉手納基地と普天間飛行場による騒音被害などを受けている周辺住民30人が、飛行差し止めを米国に求める地位にあることの確認などを国に求める行政訴訟の第1回口頭弁論が30日、那覇地裁(藤井秀樹裁判長)で開かれた。弁護団によると、米軍機の騒音被害を巡って異なる基地の周辺住民が一緒に訴訟を起こすのは、全国初。国側は争う姿勢を示した。

 米軍機の飛行差し止めなどを求める「第4次嘉手納爆音訴訟」と「第3次普天間爆音訴訟」が連携して起こした。これまでの爆音訴訟の判決では、爆音の違法性を認める一方で、飛行差し止めについては、米軍施設の運用は日本の法の支配が及ばないとした「第三者行為論」によって退けている。

 今回の訴訟では、被害防止の抜本的な対策をせず、爆音を放置している国の違法性を問う。米軍機の飛行差し止めを米国に求める地位にあることなどの確認や、日本の航空法に基づいて米軍機を管制することなどを国に求めている。

 原告は、北谷町、嘉手納町、うるま市、沖縄市、読谷村、宜野湾市、北中城村の7市町村の30人。国が定めた騒音コンター(分布図)で、うるささ指数(W値)75以上の区域内に住んでいる。

 開廷前の集会で、第4次嘉手納爆音訴訟原告団長の新川秀清さん(85)は「爆音を止めろという訴えに、司法も行政も何ら応えることはなかった。これ以上、この状況を放置するわけにはいかない。スクラムを組んで頑張りましょう」と呼びかけた。

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