米軍普天間飛行場の移設に伴い、新基地建設地とされる名護市の米軍キャンプ・シュワブ内の遺骨調査を訴える声が上がっている。沖縄戦直後、現在キャンプ・シュワブになっている辺野古崎付近に設置された大浦崎収容地区で、母を埋葬した山川和子さん(87)=那覇市=が21日、戦没者遺骨収集情報センター(又吉康夫センター長)の聞き取り調査に応じ、「基地内には今も多くの遺骨があるはずだ。きちんと調査してほしい」と訴えた。
山川さんの母・座覇マカさんは、腎臓の病気のため1945年7月、同地区で亡くなり埋葬された。2年後山川さんが埋葬場所を訪れると、雑草が生い茂っていた。目印に置いていた大きな石と、歯科技工士だった山川さんの兄が作った金歯で確認が取れたため収骨できた。
しかし、山川さんは「母の近くには、少なくとも13体ほどが埋葬されていた」と証言。「目印を付けずに埋葬された人は、今でも収骨されずに眠っていると思う」と語った。
戦没者遺骨収集情報センターは県から委託され、未収骨の遺骨の情報を調査している。又吉センター長は「基地内のため現場に容易に入れず、位置の確認が難しい」と課題を指摘しながらも「母親を実際に埋葬した山川さんの証言は貴重だ」と話した。今後さらに正確な場所を特定し、調査結果を県に報告する。
聞き取り調査に同席した遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表によると、遺族が県に死亡場所を「大浦崎」「大浦」と申告した人は304人だが、数字以上の遺骨が未収骨のまま眠っている可能性もある。
具志堅代表は「埋葬地と言われる場所以外も調べる必要がある。県が国に、遺骨調査を呼び掛けてほしい」と話した。