那覇市内のIT企業の一角で昼食時、男性従業員が腹筋運動を繰り返している。男性はバーチャルリアリティー(仮想現実)を楽しめる機能の入ったゴーグルを装着し、身体を鍛える。社員の健康づくりを奨励する企業の取材で足を運んだ
▼ゴーグルの向こうに広がるのは3Dのアニメの世界。回数が増えるとキャラクターが激励するから「やる気が出る」という。腹筋に励む社員同士の会話が弾むようになった
▼仮想現実に触れる機会が増えている。オンラインゲームもその一つ。eスポーツの普及でゲーム人口が増える一方、日常生活に影響を及ぼす「ゲーム障害」も社会問題になっている
▼厚労省が医療機関に委託した調査でゲームに費やす時間が長い人ほど、学業や仕事への悪影響、心身の問題が起きやすい傾向が出た。1日6時間以上する人の2割以上が、半年以上引きこもっていた
▼依存症の相談機関、ワンネスグループ九州・沖縄地区事務所によるとゲーム依存に関する相談が急増している。精神保健福祉士の位田忠臣さんは「抱えきれない感情をゲームで解消する子どもが多い」と指摘する
▼ゲームに没頭する子を見ると取り上げたくなるのも親心。肝心なのは自制できるかどうかだ。子どもの気持ちに耳を傾けたい。家庭や学校で悩んでいることはないだろうか。使い方のルールを決める機会にもなる。