<金口木舌>地域の味を作る

 今度の正月も雑煮ばかり食べていた。酒席が多く、胃が荒れがちになる年始に雑煮はぴったりだ。三が日が過ぎた4日も食べた。まだ年明けなのに、「今年の雑煮はこれで食べ納め」と家族は言う

▼雑煮のほかには中身汁を食べた。いなむどぅちと並んで沖縄の正月には欠かせない。よその家と食べ比べをしてみたいと毎年思う。家によって具材や味付けで特徴があるのではないか
▼家庭の味があれば、村々や島々で受け継がれる伝統料理がある。もーい豆腐は主にやんばるで親しまれている珍味。南風原町喜屋武では、お祝いの席でそうめんを食べる
▼地方にある小さな食堂にも地域独特の味がある。沖縄そば、ちゃんぷるー、みそ汁といった定番メニューで工夫を凝らし、客を集めている。年末に閉店したうるま市の平和食堂も客に愛された店の一つだったのだろう
▼なじみの客が通い、いつものメニューを頼む。ゆっくり味わうでもなく、そそくさと食べ会計を済ます。グルメ本に載るような高級店ではないが、小さな食堂が地域の食を支えている
▼当方の散歩道にある食堂も「長い間ご愛顧いただき心から御礼申し上げます」という告知を出して年末に閉店した。45年の歴史を閉じた平和食堂は短いあいさつ文で別れを告げた。さみしいけれども、地域の味を作ってきた店主の誇りがにじむ、すがすがしい別れの辞だ。



関連するニュース






  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス