「糸満市は冷たい」「障がいがある子どもたちの出場機会を奪わないで」―。2018年3月、30年続いた「なんぶトリムマラソン」が終了した。会場だった糸満市には、福祉関係者から多くの批判の声が寄せられた
▼障がいがある人たちが参加できるスポーツ大会が減っている。県内で唯一の車いすマラソンだった「ぎのわん車いすマラソン」は、16年の第28回大会で終了した
▼なんぶトリムは南部初の全県的な大会として始まり、車いすやファミリーコースなどが設けられた。11年からは南城市で開かれていた視覚障がい者マラソン大会と統合され、視覚に障がいがある人も伴走者と南部路を駆け抜けた
▼ぎのわん車いすマラソンの廃止後、なんぶトリムは障がいがあっても参加できる貴重な大会だった。主催は南部広域市町村圏事務組合などだったが、大会終了への怒りの矛先は、糸満市に向けられた
▼大会継続を望む声に背中を押され、糸満市は「みんなが主役 みんながいちばん」をキャッチフレーズに19年3月、第1回いとまん平和トリムマラソンを開催した
▼きょうは第2回大会で、6193人が汗を流すはずだった。新型コロナウイルスの感染拡大防止で中止になった。年に1度の大会を心待ちにしていた参加者を思うと、本当に残念だ。来年はぜひ多くの人がエントリーし、「海人のまち」の温かさも感じてほしい。