<金口木舌>コロナ禍の県議選


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 人けのない、乾いた街で潤いを待つ。そんな気分だった。コロナウイルス感染拡大を防ぐために県が発した営業自粛要請から初の週末、各地の商店街や飲食店街を訪ねた

▼店を閉めた経営者や店主の焦りや祈りがシャッターの張り紙から読み取れる。「一日も早く平穏な日々が戻りますように」と記したものを中部の目抜き通りで見つけた。経営者であり、一市民としての切実な願いであろう
▼若者が集う居酒屋は「沈んだ空気を吹っ飛ばす 復活の日に乞うご期待下さい」「かならずパワーアップして戻って参ります」と再起を誓う。懸命に踏ん張っている様子が見える
▼年明けには全く予期しなかった未曽有の災難となった。みんなつらい思いをしている。先が見えないことへの不安は計り知れない。こんな時、支援の手を差し伸べ、明るいところへと導くのが政治の仕事だ
▼4年に1度の県議選が巡ってくる。選挙どころではないと言う人もいようが、こういう時期だからこそ政治に目を向けたい。コロナ禍の県議選。立候補予定者は困っていよう。気軽に握手はできない。「3密」状態を生む集会もご法度
▼今回ほど心に響く言葉が求められる選挙はない。候補者名の連呼ではなく、悲しい思いで張り紙を掲げた店主たちが安心できる訴えを聞きたい。立候補予定者は試されている。政策を見極める私たちも同様だ。