放蕩(ほうとう)が過ぎて勘当された若旦那が立ち直るきっかけにと唐ナス(カボチャ)の行商を任される。落語の「唐茄子(なす)屋政談」だ。初日に売り切れるはずがないと担がされた唐ナスがほとんど完売となる
▼同情した人たちが声を掛け合い引き取ってくれたのだった。若旦那も人助けをして良い報いが返ってくる。サゲで「情けは人のためならず」と教える
▼今帰仁村産スイカが大量に余っているとの報道に購入を希望する問い合わせが相次いだ。今帰仁名産の魅力もあろうが、農家を助けたいとの思いがあっての引き合いである。気がくさくさする中にほっとさせられた
▼五輪の影響で開催が危ぶまれた全国高校総体(インターハイ)にも支援が広がっていた。インターネット上のクラウドファンディングで開催経費として約900万円が集まった。個別に募った競技もあり、額はさらに膨らんでいただろう
▼総体は、開催にこぎつけたはずが、中止となった。今度は甲子園が危ぶまれている。球児のためにも開催をと願うのが人情だろう。一方で、インターハイの中止を理由に開催を模索することへの批判もあるという
▼他競技の選手を思えば分からなくもないが、ただ横並びにしなければ、というだけでは理解されないはずだ。元プロ野球選手の大野倫さんは「開催に向けた議論を」と求めた。議論を尽くした先に妙案はないものか。