<金口木舌>肌色って何?


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 小学校の図工の授業で絵を描くのが好きだった。特に建物や自動車、風景の絵を描くのは楽しかった。人物はちょっと苦手だった。上手に描こうと頑張っても似顔絵にならない。つまり下手なのだ

▼もう一つ、苦手な理由がある。肌の色をうまく作れないのである。濃すぎたり薄すぎたりして、実際の色に近づかなかった。手元にある絵の具は12色。24色ならうまくいくだろうかと考えた
▼小学生の頃の疑問を解こうとネットで調べたら「赤と黄と青で作ることができる」とあった。三原色の組み合わせで肌の色を描くことはできるのだ。ここで別の疑問が湧いた。肌色とは何だろう
▼米医薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、黒や茶色など、それぞれの肌の色に合ったばんそうこう「バンドエイド」を発売するという。全部で5色。黒人死亡事件を契機とした人種差別批判を受けてのことだ
▼ふと気付く。ばんそうこうの色は肌の色、それは傷口に貼っても目立たないベージュだと思い込んでいた。実際の肌の色は多彩なのに。J&Jの対応は「遅すぎる」という批判もあるという
▼肌の色で差別してはならない。それが理想にとどまっているのはなぜか。小学生のわが子は濃いめの色で肌を描く。いろんな肌の色を描いてほしい。多様性を尊重できる世代なら人種の壁を乗り越えるはずだ。