<金口木舌>メディアのジェンダー観


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 家事に追われる母親を描いた住宅メーカーのCMがSNSで波紋を呼んだ。2年ほど前だ。ソファでくつろぐ父親が対象的に描かれ、性別役割分業を固定化するとの批判にさらされた

▼大手化粧メーカーのCMも炎上した。25歳を超えた女性はもてないという趣旨の会話が女性同士で交わされ「いい女になろう」と化粧品を推奨する。若さへの極端な称賛に反発が集まった。2例に共通するのは男性目線の「女性像」だ
▼炎上といえば、「AKB48」メンバーがアートの魅力を発信する「美術館女子」と銘打った全国紙などの企画サイトに批判が相次ぎ、休止に追い込まれた一件がある。美術作品を背景にしたメンバーの写真が映し出される
▼画像の中で「『芸術って難しそうだし、自分に理解できるかな』。そう思っていた」という言葉がつづられる。「若い女性は教養がないのか」と問題視された。女性を鑑賞の対象にする描き方も批判された
▼運営側はサイトを休止し「さまざまなご意見、ご指摘を重く受け止めて、改めて検討していきます」と釈明した。これに対してツイッターでは「何が問題なのか理解しているのか」という疑問が寄せられた
▼送り手と受け手の溝は深い。社会でも性差別や偏見解消の機運は高まっている。追いついていないのはメディア側かもしれない。男性目線のジェンダー観からの脱却が迫られている。