<金口木舌>村を支えるパイナップル


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 地域間の格差や、過疎化が進んで税収が減少すると、行政サービスに影響を及ぼす恐れがある。格差是正のため政府は2008年に「ふるさと納税」を開始した

▼生まれ故郷や、応援したい自治体に寄付することで税控除を受けられる。寄付を受けた市町村からの「返礼品」も一つの魅力だ
▼東村が返礼品としてPRしているのはパイナップル。実が小型で葉にとげがあることが欠点とされていたかつてのパイナップルが改良され、実が大きくて甘く、葉にとげがない「ゴールドバレル」だ
▼パイナップルは生産量日本一を誇り、全国にも出荷されていた東村自慢の特産品だが、今年は苦戦を強いられている。例年、6月下旬ごろから8月上旬にかけて出荷のピークを迎えるが、新型コロナウイルスの影響で航空便が減少したことなどで県外への流通ルートが十分に確保できていないという
▼東村の當山全伸村長は県に対し、県外への物流輸送の確保や県内需要の喚起などを求めた。東村は26日まで北中城村のイオンモール沖縄ライカムでフェアを開催中だ。観光客が減少している中、県内でも消費拡大を目指す
▼最盛期に3千人台だった東村の人口は、過疎化などで現在は1733人。「農家の所得が減少しないよう販売価格を維持したい」と當山村長。コロナ禍の中、村を支えてきた特産品の販路維持へ挑戦が続く。