<金口木舌>変わらない共通点


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 海からの強風が高台の住宅街を吹き抜ける。電線がちぎれ、街路樹がなぎ倒された。台風9号の接近で本島中部でもさまざまな被害があった。とりわけ北中城村ライカムや中城村南上原などの住宅街は激しい暴風にさらされたように感じた

▼ともに市町村面で連載した「息づく街、変わる街並み」で取り上げた地域だ。海を望む高台に集合住宅が整然と並ぶ景色は、米軍基地の返還跡地や区画整理事業で誕生した新たな街に共通する
▼昔ながらの田畑は減ったが、新しい街には学校や公園、スーパーなどがそろい、子どもの遊ぶ声も響く。移住者たちが手を取り合い、新たな文化も生まれている
▼一方で歓迎できない共通点もある。米軍機がひっきりなしに上空を飛ぶことだ。中部は普天間飛行場、嘉手納基地を抱えている。連載で取り上げた地域だけでもライカムや南上原、沖縄市泡瀬はオスプレイが上空を飛ぶ。北谷町美浜はF15戦闘機が連日、轟音(ごうおん)を響かせる。飛行が午後10時以降に及ぶことも珍しくない
▼戦後75年が経過し、沖縄の風景はさまざまに変わった。サトウキビ畑の島は海外からも人気の高い観光の島になった。同じ地域とは思えないほど変貌した街も多い
▼その中で基地被害は続き、県民の人権はないがしろにされている。真っ先に変わるべきは基地との共存を強いられる状況だったのではないか。