<金口木舌>明智光秀はなぜ謀反したのか


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 天正10年6月2日、天下統一を目前にした織田信長が、京都の地で部下の明智光秀に討たれる。世に言う本能寺の変だ

▼なぜ光秀が謀反を起こしたのか。戦国時代最大の謎ともされるが、NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」は従来の謀反者・光秀の像に挑戦している。脚本家の池端俊策さんは「まずやったことは、これまでの光秀像を白紙にすること」と語る
▼沖縄戦で最後の県警察部長を務めた荒井退造氏は栃木県宇都宮市出身だが、近年まで地元ではその存在は知られていなかったそうだ。最近は学校の授業で取り上げられ顕彰の動きがある
▼沖縄戦中の最後の知事島田叡氏とともに荒井氏を描く映画「島守の塔」の撮影が新型コロナウイルスの影響で中断している。当初は戦後75年の今年公開予定だったが、撮影は来年3月にも再開し、再来年の公開を目指す
▼県民の疎開を指揮した一方、結果として犠牲者を多く出したことから、さまざまな評価がある。荒井氏の出身地で開かれたシンポジウムで映画の五十嵐匠監督は、荒井氏の人間性にも光を当てつつ「偉人伝をつくるつもりはない」と語った
▼元県副知事で映画製作委員会の嘉数昇明委員長は「現在の政治家や官僚が劣化したような状況の中で、公職にあるべき責任感は学ぶべきものがあるのではないか」と語る。歴史を語ることは今を省みることでもあるのだろう。