「世界一貧しい大統領」と称される南米ウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカ上院議員(85)が20日、年齢や持病を理由に政界引退を表明した。「政治家の仕事は多くの人と話すこと」としていたが新型コロナウイルスの影響で、それができなくなったことも要因になった
▼2010~15年の大統領時代、報酬の大半を寄付し、自らは農場で質素に過ごす暮らしぶりで発言も注目された。大統領退任後の翌16年、来日した
▼日本政府が憲法解釈を変更し、他国を武力で守ることを可能にした安全保障関連法を制定した時期である。ムヒカ氏は「日本が先走って大きな過ちを犯していると思う」と取材に答えた
▼いま世界は米大統領選に視線を注ぐ。結果は米軍基地が集中する沖縄への影響も見込まれるが、前回選挙と同じく政策的な論争よりもトランプ、バイデン両陣営による相手候補への人格攻撃が色濃くなっている
▼同日投開票のユタ州知事選の話題も注目を集める。共和、民主の両候補が動画にそろって出演し平和的な討論と選挙戦を呼び掛けた。分断が深刻化する国を憂い、両候補は手を握った
▼ムヒカ氏も引退演説で若者にメッセージを送った。「人生で成功することは(人を)負かすことではない。倒れるたびに起き上がるということだ」。手を振り払う世界か、差し伸べる世界か。道を決めるのは有権者たちである。