<金口木舌>学校の「当たり前」を見直してみる


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 来春に向け、大型スーパーの陳列台でランドセルを見掛ける季節になった。赤と黒に加えうす紫、こはく色、空色など多彩な色が目を引く。一昔前、色の種類は少なく、男子は「黒色」、女子は「赤色」という暗黙のルールもあった

▼性別にとらわれず好きな色を選べるようになったのはいい。通学路でカラフルなランドセルを背負う小学生を見掛けると実感する
▼県内の中学校では性別に関係なく自由に制服を選べる「制服選択制」が広がっている。県教育庁の調査と琉球新報のまとめでは今年4月時点で、2020年度から選択制を導入予定の公立中学校は36校に上り、制服のある144校の4分の1を占めた
▼選択制の広がりは、心と体の性が一致しない性同一性障害の当事者の服装に関する悩みを和らげるだろう。性の多様性を伝えるメッセージになる
▼県による男女共同参画社会づくりに関する県民意識調査で、自分の体の性や心の性、性的指向に悩んだことがあるとの回答は全体で4・6%。若年層ほど多く20代で8・5%、30代は10・4%に上り、一定割合いた
▼調査では性に基づく差別や偏見を解消するために必要なこととして、56%が「幼少期からの教育」と答えた。子どもたちが「男らしさ」「女らしさ」をすり込まれ生きづらさを抱えないために、学校の中にある「当たり前」を見直してみる。それが第一歩になる。