<金口木舌>チャンスをつかむにはどうすれば


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 人生には全く予期せぬ驚くべき出来事が起きる。世界ボクシング協会ライトフライ級元王者の具志堅用高さんの半生には、そんな出来事がたびたび訪れる。具志堅さんの半生をつづった連載が本紙で始まった

▼強烈な左ストレートで世界王座13回連続防衛の偉業を成し遂げた。連載開始前のインタビューで「チャンスは自分でつくるもの」と強調していたのが印象的だった。言葉の裏には不断の努力でチャンスを生かし、つくってきた経験があるからだろう
▼近年「努力しても報われない」と感じる人が増えてきているという。統計数理研究所が5年ごとに実施している「国民性調査」によると、「努力しても報われない」という人は1988年の17%から2013年は26%となった
▼「結果」ばかりが注目され、「過程」の大事さには目が向かない社会になってはいないか。一度、失敗したら終わりといった社会になってはいないかと懸念する
▼具志堅さんは挫折や失敗をしながらも努力することを諦めなかった。それは勝利へのこだわり、支えてくれた両親や故郷沖縄の人たちへの「恩返し」の気持ちが強かったからだ
▼努力しても報われないかもしれない。だが何かを成し遂げた人が努力しているのも事実。具志堅さんの半生は、そのことを教えてくれ、失敗を恐れ努力することをためらう人の背中を押してくれる。