<金口木舌>小さな声を受け止める

 俳句で使う季語は約8千あるという。この日にぴたりと合う季語は何か。そんな疑問に答える「まいにちの季語」(辻桃子・安部元気著)が昨年発刊された。365日それぞれの一語を紹介する

▼元日は過ぎ、初夢は2日で七草にはまだ日がある。ではきょう5日は何か、と本を手に取ると「裏白(うらじろ)」とあった。正月飾りに使うシダの葉のこと。葉裏が白く、白髪の長寿を示して縁起がいい
▼5日ともなると飾りに使った葉も枯れてくる、というのがこの日の季語に挙がった理由。知った気になって自宅のしめ飾りを確かめると、葉は合成樹脂製だった。せっかくの季語は通用しそうにない。時代は変わった
▼初商いや初荷は本来2日というが、ニーズに応じ業態でも違いがある。2日とされる書き初めは済んだろうか。昨晩、慌てて筆を取った子もいるだろう。きょうから始業という学校は多い
▼長い休み明けは気持ちが落ち込みやすい。子どもはなおさらだ。コロナ感染防止でさまざまな我慢を強いられ、よりストレスがかかる。「学校に行きたくない」と口にした時は限界だと指摘する専門家もいる
▼季語は時代の変化を敏感にとらえる。枯れない樹脂の葉を見て句を詠む俳人もいよう。「ウィズコロナ」という時代の中で、私たちは幼い子の不安を見落としてはいないか。小さな声を受け止める敏感な心を持っていたい。


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