<金口木舌>安全と信頼

 陸上競技のスターターは極度の緊張を強いられる。百分の一秒を争うスプリンターを公正にスタートさせる役割だ。追い風が2メートル超だと公認記録にならない。風がやむのを読んで撃つ名人もいる

▼東京五輪100メートルの号砲を務めた佐々木吉蔵さんは西部劇が好きだった。ガンマンの挙措に出走前の間の取り方、振る舞いを学んだ。いわく、「落ち着いた態度が選手を安心させ、信頼を得られる」
▼競技引退後、スターターや審判員として関わる方は多い。佐々木さんもそうだった。他の競技でも引退後に運営で貢献する人がいる。スポンサーとなる企業は社会貢献を掲げる
▼大会が軒並み中止となった昨年6月、ゴルフ女子ツアーが無観客で敢行された。検査費用など対策には相当な経費がかかった。スポンサーの大塚達也アース製薬会長は「やれば利益が落ちる」とはっきり言う。貢献の言葉にも説得力がある
▼コロナ禍のおかげでスポーツを支える企業の本気度が見えてきたとも指摘する。安全を守りつつ運営できるか。中止でも批判は少ないだろう。それでも開催に踏み切れるか、どうか
▼大相撲初場所は力士大勢が休場した。開幕には相当な苦労があったろう。感染を懸念した22歳の序二段力士は引退に追い込まれた。他に対処の仕方はなかったか。社会への貢献も、選手ら当事者の信頼を得た上で果たされるはずだ。



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