<金口木舌>「上級国民」への疑念


社会
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 緊急事態宣言下での政治家の行動を巡り「上級国民」という言葉がSNS上で再び目に付くようになった。憲法は「国民は法の下に平等」とあるが現実は違う。国民にそんな疑惑が渦巻いているのだろうか

▼上級国民は、東京の乗用車暴走事故で旧通産省工業技術院長が逮捕されなかったことをきっかけに広く使われるようになった。逮捕されない特権があるのではとの疑念や妄想が広がり反感に火がついた
▼今回は、どうだろうか。感染が判明した自民党の石原伸晃元幹事長が無症状だが即入院したことに「上級国民」との声が上がった。即入院できるということ自体はいいことだ。だが自宅待機者数が急増する中、与党議員だから即入院できるという疑念を抱かせたのだろう
▼松本純元国家公安委員長や公明の遠山清彦氏らの深夜までの高級クラブ滞在にも同様の批判が上がる。松本氏の説明が当初と違うことも判明した。国民を欺けるというおごりはなかっただろうか
▼新型コロナ対策の特別措置法改正で国民に一層の負担を求めることになる。「桜を見る会」を巡る安倍晋三前首相の虚偽答弁もしかり、政治家の軽率な行動や無責任体質が国民の反感を買い政治への不信につながっている
▼コロナ禍で、国民は政治家の言動に注視している。これ以上の政治不信を招かないために、率先垂範することが求められる。