<金口木舌>暴力、暴言の排除を


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 福岡県で開かれる益子直美カップ小学生バレーボール大会には「監督は絶対に怒らない」という決まりがある。元日本代表の益子直美さんの名を冠した大会だ。学生時代から厳しい指導を受けてきた益子さんは「怒られると子どもたちは萎縮する」と語る

▼少年野球の指導法に警鐘を鳴らすのは米大リーグでプレーする筒香嘉智選手だ。指導者が勝利を重視するあまり暴言を吐き、長時間の練習を課しているとして「子どもたちに大きな負担がかかっている」と訴える。転機は数年前、ドミニカ共和国で失敗しても怒らず、長所を伸ばす指導者と接したことだという
▼県内の高校で運動部主将を務める男子生徒が自ら命を絶った。遺族によると、生徒は部活動顧問の教諭から日常的に叱責(しっせき)を受け悩んでいた。県教育委員会は第三者による調査チームを設置した
▼教員の不適切な「指導」に追い詰められ、生徒が自殺する事案が全国で相次いでいる。「指導死」と呼ばれる
▼日本バスケットボール協会は2年前、指導者による試合中の暴力や暴言をテクニカルファウルとして取り締まる方針を打ち出した。担当者は「意識を変えることで少しずつ指導法は変わっていく」と説明する
▼スポーツに関わる全ての大人が人権を尊重し、暴力や暴言をなくす必要がある。子どもたちは失敗を恐れず、伸び伸びと力を発揮するはずだ。