<金口木舌>2700㌔の漂着物


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 「観光シーズンだったらどうなっていたか」「人の頭に落ちていたら」。2018年2月、うるま市伊計島のビーチに米軍オスプレイの機体の一部が流れ着いた。重さ13キロのエンジン吸気口だった。地元の人々は怒りを表した

▼10年にも南城市の海岸で信号弾などが大量に発見された。米軍の漂着物は何度も民間地の浜などで確認されている
▼中城村の海岸に今月17日、米軍の防舷物(フェンダー)が漂着しているのが確認された。艦船が港に接岸する際に衝撃を和らげる物体でホワイトビーチで使われていた。米海軍は3日後にボートで回収した
▼落下物や弾薬ではないがビーチに重さ2700キロの物体が転がっているのは異様だ。基地内でどのような装備が使われているのか、県民は知らされていない。嘉手納基地で昨年、火災で大量の塩素ガスが流出した。半世紀前、漏出事故があるまで毒ガスの貯蔵を隠していた構図と同じだ
▼沖縄同様に米軍基地を抱えるデンマーク領グリーンランド自治政府は2003年、基地に関する外交交渉の当事者になった。きっかけは核兵器配備を米国と自国政府が地元に隠していたことだ
▼3年前、現地の青年は「自己決定権が確立されるまで私たちは声を上げる。米軍基地も例外ではない」と語った。情報がなければ暮らしや生命は守れない。隠し事をする隣人とは暮らせない。