<金口木舌>飲み会を断らない女?


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 職場での男性像、女性像を探る調査で「ハイディーとハワード実験」というのがある。Aグループには女性名詞のハイディーを主語に、Bグループの主語は男性名詞のハワードにして、成功した経営者の文章を読んでもらう

▼ストーリーは「強烈な個性の持ち主で著名な経営者にも顔が広く、人脈を駆使して成功した」という内容。結果はハワードの方が好感度が高く、ハイディーには「自己主張が激しく一緒に働きたくない」との印象を抱いたという
▼成功する男性の好感度は高いが、同じ資質でも女性の場合は嫌われる結果となった。発信する性別によって受け手の印象が変わるのは偏見と言える
▼女性初の内閣広報官・山田真貴子氏が「飲み会を断らない女」として話題になった。もし男性広報官が「飲み会を断らない男」と発言したら、これほど話題になっただろうか
▼接待を受けたことは大問題で、辞任は妥当な決断だった。だがその発言部分だけを切り取った動画のニュース性には疑問に感じる。「女性は控えめで、出世を望むあざとさはいただけない」という思い込みがなかったか。ある意味「わきまえない女」と見られている
▼「ハイディーとハワード実験」から学ぶことは「嫌われるかもしれない」と成功を恐れることではない。能力のある女性が遠慮せず、自信を持って、正しく評価される社会となることだろう。