<金口木舌>大臣、あなたこそ「褒められない」


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 政治家は、時に少子化問題の責任を女性になすり付ける。かつて麻生太郎財務相は「子どもを産まないほうが問題」、森喜朗元首相も「子どもを一人もつくらない女性が自由を楽しんで、年とって税金で面倒みなさいというのはおかしい」などと発言した

▼一方、この少子化時代に、子どもを産む女性にケチを付けるような政治家を初めて見た。県内の若年層の妊娠を「必ずしも褒められる話ではない」と批判したのは、河野太郎沖縄担当相
▼子を産む決心をした女性が子育てしやすい環境を整えるのが政治の役目だ。ひとり親世帯の貧困の再生産を問題視する前に、再生産されない仕組みを政治家は考えるべきだろう
▼子どもたちの放課後の居場所である学童保育一つ取っても、公立が多い本土と比べ沖縄は9割を民間が担う。沖縄の親は、高い利用料の負担を余儀なくされている
▼日本復帰後49年続く国の沖縄関係予算で、子どもの貧困対策費が初めて計上されたのは、わずか5年前。本来、復帰直後から道路などのインフラ整備と同時に、子ども施策も両輪で進めるべきだった
▼河野氏をはじめ、麻生、森両氏に共通するのは国の政策が不十分にもかかわらず、それを棚に上げて女性に責任を押し付けている点。最も立場の弱い人に問題をすり替え、矮小(わいしょう)化する。変えられない政治(家)こそ「褒められる話」ではない。