<金口木舌>50歳と14歳は対等ではない


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 あなたは誰かに紅茶を入れることにしました。「紅茶はいかが?」「ありがとう。ちょうど飲みたかったの」と言われれば、相手も紅茶が飲みたいことが分かります

▼「う~ん、どうしようかな」とはっきりせず、相手が飲もうとしなかった場合、無理矢理飲ませてはいけません。相手も飲む義務はありません
▼イギリスの警察が性行為の同意を紅茶に例えた動画の内容だ。同意・承諾・納得なしに紅茶を飲ませることは、ばかげたことだと伝えている。対等な関係なら断れるが、10代の子がお世話になっている先生や部活の顧問などの場合、断れるだろうか
▼刑法が定める「性交同意年齢」は13歳。13歳未満は同意を問わず犯罪となるが、13歳以上は大人同様に被害者が抵抗したことなどを立証しなければ罪に問えない。少なくとも義務教育を受けている生徒は保護しようと、16歳に引き上げる議論が進んでいる
▼耳を疑う発言が出た。立憲民主党の本多平直衆院議員が「50歳近くの自分が14歳の子と性交したら、たとえ同意があっても捕まることになる。これはおかしい」と述べた
▼50歳と14歳は対等ではない。対等でない関係に同意はない。同意がない性行為は性暴力だ。未熟な10代の子が恋愛と思わされ、被害を生んでいる。被害に目を向けず実情を知らない議員が立法に携わる資格はない。刑法改正が急がれる。