<金口木舌>チョークとオンライン


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 昔は授業中によそ見をしたり居眠りをしたりして意識が途切れると、チョークが飛んできた。チョークは生徒の意識を授業に戻すことができただろうが、今なら体罰問題に発展しかねない

▼投げる側にも言い分はあるはずだが、生徒は目を輝かせて授業を受けられただろうか。文部科学省が掲げる学習指導要領は、教員が一方的に話すのではなく、生徒が能動的に参加することを重視する
▼米国立訓練研究所によると、学習方法と定着率には相関関係がある。同研究所によると、学習定着率は「講義」が5%、「グループ討論」が50%、「他の人に教える」が90%となっている
▼新型コロナウイルスの感染拡大で休校を余儀なくされた県内の小中高校の一部でオンライン学習が実施された。電子端末やインターネット通信などの環境が整わず、オンライン授業を見送った学校も多いが、変化に対応しようと果敢に挑戦した学校もある
▼名護高校は休校措置が決まった4日、オンライン授業を平日3時間ずつ実施することを決めた。腐心したのは全校生徒1人も取り残さず「つなぐ」こと
▼「勉強はつまらない」と聞くと、残念な気持ちになる反面、理解できる部分もある。一方通行の授業は確かに退屈だ。教室でもオンラインでも「つながり」は、学び合う環境を生む。新たな時代に臨機応変に対応する教育現場に学ぶことは多い。