<金口木舌>五輪と女性


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 身長203センチの八村塁選手と、153センチの須崎優衣選手。身長差50センチの2人が、五輪開会式の旗手を務めた。今回、初めて国際オリンピック委員会が男女平等の観点から、新ルールとして男女ペアで旗手を務めるよう各国に呼び掛けた。全体の89%が男女で入場したという

▼1896年に第1回大会がギリシャで開催された時、男性しか出場できなかった。パリで開かれた第2回大会から女性にも門戸が開かれた。あれから約120年。本大会の女性出場者の割合は過去最多の48・8%を占める
▼女性選手の言動にも注目が集まる。日本対英国戦の女子サッカーの試合前に、両国の選手らが片足で膝を付く姿が見られた。人種差別への反対を表明した
▼ドイツの体操の女子選手は、多くの選手が着用するレオタードではなく、足首まで覆われた「ユニタード」で試合に臨んだ。体操競技を性的な対象として見ることへの抗議を示した
▼近年、スポーツ界では女性選手が性的な印象を与える画像や動画を勝手に撮影され、拡散される被害が相次いでいる。体操選手の一人は「不快を感じずに、違う衣装でどうすれば美しく見せられるかを示したかった」という
▼五輪が掲げる「ジェンダー平等」「多様性の推進」「人権の尊重」について、日本はどうなのか。メダル争いだけではない、社会へ提言する姿勢に学ぶ意義は大きい。