<金口木舌>新学期の始まりに


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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、夏休みの延長や臨時休校をしていた多くの学校で新学期が始まった。感染を防ぐための分散登校、オンライン授業など試行錯誤が続いている

▼オンライン授業を受けている中学生の子に聞くと「つながっている感じがあるから、ひとりで勉強するよりいい」と言う。授業が始まると机の前に座らなければならない。生活リズムを整える効果もありそうだ
▼不登校気味の子がオンライン授業に参加し、発言する場面もあるという。画面上のやりとりは一定の距離感がある。参加しやすさを感じる人もいるのだろう。コロナ禍が思いがけない変化をもたらしている
▼感染拡大が続く中、少なくとも県内12市町村で感染への懸念などを理由に登校を控えている児童生徒がいる。中部のある自治体では小学生全体の10%、中学生は5%の登校控えが確認された。オンライン授業は学ぶ機会の保障につながる
▼学校は子ども同士が学び育ち合う場。コロナ禍は学校の意義を考える機会になった。学力を身に付けるだけではない。運動会、合唱コンクールなど一人ひとりの個性が輝く場面がある
▼新学期は子どもたちが不安を抱えやすい。今年はコロナ禍が加わりなおさらだ。身体的な密を避けながら、子どもたちの気持ちが通じ合えるような環境づくりに知恵を絞りたい。大人の腕の見せ所だ。