厳しい生活環境にある子どもたちに、ごはんを提供する子ども食堂。最近は新型コロナウイルスの影響で食堂に集まることが難しく、弁当の配布、食材の提供など、さまざまな手法で善意の輪が広がっている
▼きっかけは2015年度に県が取り組んだ子どもの実態調査だった。子どもの相対的貧困率が約30%と全国より高い水準だった。学用品を補助する就学援助制度の周知徹底や、無料塾などの取り組みにもつながった。問題が可視化されることで支援や政策が手厚くなった
▼さらに見えづらい問題があった。「生理の貧困」だ。女性にとって生理用品が買えないという事態は、精神的にも肉体的にもつらい。本紙のアンケートで困っている人たちの実態が見えてきた
▼特に中高校生らの悩みは深い。「女に生まれて損した」「屈辱的だ」「恥ずかしくて誰にも言えない」。親に頼れず、自身の尊厳が傷ついたり自己否定につながったりしている
▼自治体や学校で無料配布の動きがある。善意の輪の広がりはとても大事だが、根本的な解決とはならない。一人で悩みを抱え込ませない支援態勢との両輪で進める必要がある
▼「見えないと始まらない。見ようとしないと始まらない」。天文学者ガリレオ・ガリレイの言葉だ。ようやく可視化されてきたこの問題。タブー視せず、まずは当事者の悩みを知ることから始めよう。