<金口木舌>不確かな結果への偏愛


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 これは便利だ。南風原町議会の動きが一目で分かるアプリが生まれた。「非公式南風原町議会アプリ」という。玉城陽平さん(30)が独自に開発した

▼昨年末から南風原町で暮らすようになった。情報を得るため町のホームページにあたったが「分かりやすく整理されていない」と感じたという。町民にとっても議場が身近になったようだ
▼欲しい情報が即座に手に入るスマホは、生活に欠かせない。でも過度な依存は考えものだ。着信音を聞くと「何か大事なメッセージかも」と、期待感が高まり、脳内物質のドーパミンが出るという。話題の本「スマホ脳」(アンデシュ・ハンセン著)が警鐘を鳴らす
▼やる気や幸せな気持ちを引き出す効果があるとされるドーパミン。脳はギャンブルのような「不確かな結果への偏愛」を好むとし、結果的にスマホが手放せなくなる。ハンセン氏は依存の危険性を指摘する
▼思い当たることがある。自宅にスマホを忘れたまま外出すると、不安で仕方がない。自宅に戻りスマホを開き、胸をなで下ろす。これって依存症? それとも偏愛の一種?
▼とは言え、この便利さは何物にも代え難い。惰性で時間を無駄に使うのではなく、玉城さんのように、知りたい情報を能動的に得て、発信するツールとして使いこなすのが理想。まずは一定時間、通知音をオフにしてみよう。脳の偏愛を絶つために。