<金口木舌>コーヒーと地球温暖化


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 仕事の合間に温かいコーヒーで一息つく。この季節はそんな時間を楽しみにしている人も多いだろう

▼コーヒーの産地は主に「コーヒーベルト」と呼ばれるアフリカや中南米。2006年に公開された映画「おいしいコーヒーの真実」は、欧米大企業による生産農家の搾取と、貧困にあえぐ実態を取り上げ反響を呼んだ
▼2014年、自然保護区に近い熱帯雨林の広がるペルーに入った。原生林のジャングルを数時間歩くと、無残な焼け跡が目に飛び込んだ。コーヒー栽培は数年で土地がやせるため、数年ごとに森を焼き、新たに栽培地にするという
▼その森林破壊は、地球温暖化の一因にもなる。温暖化によって、コーヒーの木が立ち枯れを起こす「さび病」がひどくなる悪循環も生じている
▼現地では、農業と林業を組み合わせる「アグロフォレストリー」も少しずつ普及する。そうした商品や、適正な価格で農家から購入する「フェアトレード」商品を買うのも持続的で公正な社会のための選択肢の一つ。その1杯で救われる未来と人たちがいる。