県内の製造業を訪ねる連載で複数の企業を取材したことがある。滝つぼや竜巻で水が滑らかになる仕組みを研究し、オゾン水生成装置を開発した企業があった。金属を使わずに合成樹脂で吸着する義歯を開発したスタジオも
▼共通するのは製品を利用する人の意見を聞いたことだ。「売るだけでなく顧客の使用環境まで改善したい」と話していた。沖縄で生まれた製品の県内製造にこだわる技術者もいた
▼沖縄職業能力開発大学校で、学生たちが黒糖を自動で割る装置の改良を重ねている。黒糖本舗垣乃花との共同開発だ。従来は手作業で割っていたが、従業員への負担が重かった
▼昨年は上級生が一口大に割る工程を自動化。本年度はブロック状の黒糖を割る最初の工程から自動化した。「将来は製品開発の現場で働きたい」と話す学生の目は輝いていた
▼同大学校の就職率は100%近い。学生の希望や適性に応じて学びを支援し、企業とマッチングした成果だという。教育機関と企業が若者たちの志を支え、ものづくりの裾野を広げている。