<金口木舌>世界ダウン症の日に


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 友人の子どもは最近、手話を学んでいる。同じクラスの耳の不自由な子とコミュニケーションを取るためで、よく使う手話は「一緒に遊ぼう」だという

▼一昔前までは、障がい児は特別支援学校に通うのが当たり前だったが、今は普通校を選ぶ例も少なくない。障がいの有無にかかわらず共に学ぶインクルーシブ教育が県内でも広がっている
▼「私たちがどんな生活をしているのか知ってほしい」。以前取材したダウン症の息子がいる母親はこう話していた。妊婦の血液でダウン症など胎児の染色体異常が分かる新出生前診断で、異常が確定した8割近くが中絶を選んだ
▼産む選択も産まない選択も尊重される。ただ、障がいがあることを「不幸だ」と決めつけないでほしい。このままでは障がい者はいなくなるのでは―と母親は訴えた
▼問われているのは障がいと向き合う社会の在り方。きょうは国連が定めた世界ダウン症の日。障がい者や病気の人がいるのは当たり前。多様な人を包み込む優しい社会実現の第一歩は、一緒に遊んで知ることから。