<金口木舌>共存のまちの論戦


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 3月の沖縄市議会である出来事が話題になった。24日投開票の市長選に向けてある陣営の市議がスマホのグループメッセージで「作戦」を送ったが、うっかり超党派議員が加入するグループに送信していた

▼相手陣営の市議がこれに冗談で応じた話を誤送信した本人が披露した。空気がぴりぴりする選挙シーズン。真剣勝負を繰り広げる中でも互いがしばし和む場面に遭遇すると、少しほっとする
▼「ちゃんぷるー文化」が根付く沖縄市には、立場の違う相手を包み込む懐の深さがある。かつて沖縄市担当だったころ、取材相手に「あなたに賛成はしないが、あなたの言うことは理解する」という「コザ精神」をよく説かれた
▼市議会には明治政府が発した「五箇条の御誓文」の一つ「万機公論に決すべし」という標語が掲げられている。自説を堂々と主張しつつ、耳の痛い声も排除せず受け止める決意も感じる
▼市長選は現職と新人が政策論争を繰り広げている。「ちゃんぷるー文化」という普遍の価値に寄り添った沖縄市らしい論戦に耳を傾けたい。