<金口木舌>大切なのは間違えてから


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 バスケットボールに「審判と戦う」という言葉がある。ファウルなどの判定に納得せず審判に不満を示す状況だ。試合に集中しないことで結果的に黒星を招くことがある

▼プロ野球で先日、判定に不満そうな態度を見せた投手に球審が詰め寄った。友寄正人審判長は球審に「別の対応策を取るべきだった」と指摘したという。投手側にも問題があったはずで、相手を受け入れる寛容さが両者に求められた
▼今年の選抜高校野球では審判が誤審を認めて謝罪し、判定を覆した。ネット上では誤審への批判よりも、すぐに状況を説明して謝罪したことを称賛する声が多かった
▼サッカーでは新技術でゴールを判定し、野球やバスケではビデオ判定を導入する。審判を補助するシステムは充実するが、最終的な判断を下すのは人間だ。誤審を完全になくすのは難しい
▼大切なのは間違ったときにどう対応するか。素直に誤りを認める潔さ、相手を許す心の広さは欠かせない。多くの人が注目するスポーツ界でこそ、争いを回避する正しい姿を見せてほしい。