<金口木舌>憲法記念日に誓うこと


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 韓国ソウルの光化門広場に立つ高さ約17メートルの銅像。豊臣秀吉の朝鮮出兵で日本軍を撃破した李舜臣は「祖国を守った英雄」として日本の方角ににらみを利かせる

▼朝鮮出兵は朝鮮側からすれば侵略に他ならない。1910年には大日本帝国による併合によって主権を奪われた。韓国の独立記念館では朝鮮半島の受難と独立運動の歴史が写真やジオラマなどで紹介されている
▼ロシア帝国の南下など、日本の安全を脅かす当時の国際情勢はあったにせよ、日本が独立国家の主権を侵害したのは事実だ。主権を侵された歴史は中国や韓国で今も連綿と受け継がれている
▼保守層からはロシアのウクライナ侵略や中国の領海侵犯などを理由に、憲法9条を見直すべきだとの声も上がる。しかし外交努力による問題解決が軽視され、武力行使が正当化される世界に未来はあるのだろうか
▼今日は憲法記念日。平和の尊さを訴えてきた沖縄戦体験者の声をいま一度思い出し、飢餓や抑圧、差別など「構造的暴力」を克服する「積極的平和」の実践を誓う日としたい。