<金口木舌>こどもの未来は社会の未来


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 幼いころ読んだ図鑑に「みんなが大人になるころには宇宙旅行に行けるかもね」と書いていた。この数年で現実になるとは思いもしなかった。かつて夢の道具として描かれた携帯電話は「1人1台」の時代になって久しい

▼技術の進歩は子ども時代の「夢」を現実にする、大人たちの挑戦のたまもの。道のりには多くの失敗もあろう
▼進歩の裏では課題も浮かぶ。宇宙旅行はまだ一部の大富豪しか行けない「格差社会」進展の象徴でもある。ロケットは大量の温室効果ガスを出し、地球温暖化対策にも逆行する。技術の枠にとどまらない課題も社会に山積している
▼きょうは「こどもの日」。今を生きる子どもたちは、どんな未来を想像しているのだろう。胸躍る未来に目を輝かせながら、沖縄と世界に横たわる難題に挑む頼もしさを身に付けてほしい
▼足元では子どもの貧困問題にも関心が高まっている。心身の健やかな成長は、平和や欠乏からの自由があってこそ。子どもたちが伸び伸び育ち、才能を開花できるよう、大人が成長を支えたい。