<金口木舌>「流弾」をコロンボのように


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 米名作ドラマ「刑事コロンボ」。社会的地位の高い犯人の言い訳に矛盾を見つけ、じわじわ追い詰める展開に留飲が下がる

▼「物証と状況証拠をそろえ、参考人に同じ質問を角度を変えて繰り返す。矛盾があれば露呈する」。凄腕で知られた県警の元刑事の話を思い出す。だが優秀な刑事でも超えられないのは「日米地位協定」の壁
▼実弾演習が実施されるキャンプ・ハンセンに隣り合わせの金武町伊芸区で見つかった銃弾のような物。通常なら証拠保全のため使用された全ての武器を押収し関係者を聴取すべき事件だ。ところが、米軍は訓練との関連を否定する見解を出し収拾を図ろうとしている
▼過去には3歳の女児や19歳の女性の太ももに銃弾が直撃したこともある伊芸区。治外法権の高い壁に阻まれ、原因特定に至らなかった事件は後を絶たない
▼「関係ない」と紙1枚で片付けようとするのは良き隣人の態度だろうか。基地内での県警主導の捜査と、コロンボのように参考人と障壁なく接触できるなら、少しは県民の留飲も下がるだろう。