<金口木舌>ウクライナから避難の母の思い


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で半年。出口の見えない戦争が続き、戦禍の中に取り残された人々がいる

▼県内に避難しているウクライナ人は23日時点で17人。コマハ・ルドミラさん(54)は5月、西部ザカルパッチャ州から子どもたちと逃れてきた。娘のナディーヤさん(33)と一緒に話を聞いたのは6月
▼ルドミラさんの避難までの日々は過酷だった。空襲警報のたびに子どもを隠し、自分たちの上に爆弾が落ちてこないことを祈った。「4人の子どもの母親として、戦争をするために子どもを産んだのではない、と叫びたい」と涙を浮かべた
▼ナディーヤさんは、沖縄で琉球独自の歴史や言葉に触れたといい、もっと学びたいと意欲を示した。異なる歴史や文化を知って交流することで、戦争を避けることができると思いを語る
▼2人は今、台湾を巡る米中対立に危機感を抱く。戦禍から逃れてきてもなお、戦争への懸念にさらされ、沖縄で77年前のような地上戦が繰り返されないよう祈る日々だ。心から安心できる日が早く来ることを願う。